芝浦工業大学 機械制御システム学科の古川修教授は3月16日、個人の移動を支援することを目的としたUltra Compact Mobility(UCM)を開発したことを明らかにした。
同教授は1977年に本田技術研究所に入社、2002年に同大の教授に就任するまで数々の研究開発プロジェクトの責任者を務めてきた経緯を持つ。その経歴の中で、1990年にはセグウェイに先駆けて乗用平行2輪車の基本コンセプトを発表している。
今回の成果はその発展系で、「自動車は自由で移動が楽で、多くの荷物が運べる利点があるものの、駐停車の問題や渋滞、飲酒運転の危険性、そして環境汚染といった問題がある。一方の公共交通機関は、鉄道などを例に取ると移動時間が安定し、人間の大量輸送が可能なため、コストを抑えることができる。しかし、個人が多くの荷物を運ぶのは難しいし、駅や停留所などの間は徒歩移動をしないといけない」(古川教授)であり、自動車と公共交通の隙間を埋めて個人の移動を支援する乗り物が求められていることから、「自動車と公共交通機関の隙間を埋めるパーソナルモビリティ」を開発したという。
公共交通機関内にも持ち込めて、シームレスに移動を支援する乗り物ということで、コンセプトは、「立って乗車し、体重移動で自由に加減速、旋回できる」「電車、バスの中に携帯できる」「ライダーの安全性の確保」の3つ。これを実現するために、ライダーの足裏の圧力中心がモビリティの搭乗面内にあるように、モビリティの前後・左右加速度を制御することとした。
今回開発された試作1号機の仕様は、電車やバスへの持込が可能となることを前提に、平均的な日本人が搭乗可能で、都市圏の電車の隣駅まで往復できることを目指し、車両重量は約15kg、車体は幅300mm×長さ600mm×高さ250mm、許容搭載量80kg、最高速度10km/s、継続走行時間1時間となっている。重量が若干重いように感じるが、これについて古川教授は「1号機ということもあるが、一般的に手に入る素材を用いてくみ上げたため」と説明する。
構造は左右独立モータ駆動の車輪を中心に、足裏(2次元)荷重センサをサイドに配置したような形となっており、それを32ビットのPICマイコンで制御している。
作動原理は、ライダーの体重移動をセンサで感知。前後の場合はその方向に加速し、その加速で荷重中心がUCMの中心に戻るように左右のモータを制御することで安定した走行を実現する。また、左右への旋回はボードのどちらかに体重を傾けると、それをセンサが感知し、そちら側へ回転が行われる。
現状は試作段階のため、さまざまな課題があるが、古川教授は、「走行制御の緻密化による操縦性の向上や、素材、構造の見直しやモジュールの軽量化などで女性でも持ち運べる程度(最大で7~8kg程度とのこと)への軽量化を進め、興味を持ってくれたメーカーと製品化を進めていきたい」と実用化に向けた取り組みを進めていくことを強調する。
また、実用化に併せて、法整備が必要となることから、国土交通省や警察などと連携を図っていき、早期の実用化を目指したいという。
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