米Associated Press (AP通信)の報道によれば、現在フィンランドの大手携帯メーカーNokiaが米Appleに対して起こしている特許侵害訴訟について、この訴訟の停止に米デラウェア州の連邦地方裁判所が同意したという。この停止同意にはAppleからNokiaの反訴も含まれており、両社がともに国際貿易委員会(ITC)に依頼している特許侵害状況の調査結果を待ったうえで再開となる見込みだ。

Nokiaは昨年2009年10月、Appleを7件の特許侵害で訴えている。一方のAppleもNokiaを9件の特許侵害で反訴しており、その行方に注目が集まっていた。携帯メーカーとしては最大手のNokiaだが、最近は得意としていたスマートフォン分野での苦戦が続いており、2009年にはついに携帯電話事業の利益で新参メーカーのAppleに抜かれたという分析結果も出されており、危機感が募ったうえでの訴訟とみられていた。NokiaとAppleともに特許侵害内容についてITCに調査と判断を依頼しており、今回の裁判停止請求はこの裁定を受けた上で裁判所の判決に委ねることが狙いとなる。

特許訴訟の勃発は、両者の関係が激しい競争状態にある、あるいは潜在的な脅威を事前に潰すといった行為が行われていることを意味する。同分野で先行するNokiaが、Appleの台頭を早い段階で押さえる狙いがあったとみられる。またAppleは先日、台湾のスマートフォンメーカーHTCを20件の特許侵害で訴えており、やはりその動向に注目が集まっている。その狙いは多くが予測するように最近のiPhoneの類似品の氾濫に警鐘を鳴らす意味があるとみられ、HTCは数あるメーカーの代表として"見せしめ"的な扱いとなった可能性がある。一連の訴訟の数々は、ある意味でスマートフォンが現在最もホットな分野であることの証だろう。