三機工業 代表取締役社長 有馬修一郎氏

三機工業とシスコシステムズは2月25日、IPによりビルディング・オートメーション(以下、BA)環境とITネットワーク環境を統合してビル内に施設する事業を共同で展開していくことを発表した。

通常、BA環境を構築するうえでは、中央管理、エネルギー管理、入退室管理、ITV設備、照明設備、防災設備などさまざまな管理ネットワークが求められるが、従来はそれらのネットワークを個別に設置するケースが多いという。加えて、ITに関しても、IP電話やデジタルサイネージ、ビデオ会議などで専用のネットワークを設置することがあり、ビル内はさまざまなネットワークが乱立している状態で構築/管理コストが嵩んでしまうという問題があった。

今回発表されたソリューションは、こうした状況を改善するための施策になる。具体的には、IT環境とBA環境を統合したネットワークを基本設備としてビル内に組み込む。BA環境が統合されるため、コスト削減や省電力、運用の効率化が図れるうえ、IT環境も同ネットワークに集約されることで付加価値の高いビル設備を構築できるという。

統合ネットワークの概要

両社の試算によると、統合ネットワークの利用によりイニシャルコストは約50%の削減が可能。電力消費量に関しても、ビル全体で約6%の削減が見込めるほか、シスコシステムズのEnergy WiseによりIT機器の電力量を30%程度低減することができるという。

また、信頼性という点でも、光ケーブルとネットワーク基幹装置を二重化して可用性を高めるなどの配慮がされている。また、個別ネットワークを排除し、統合ネットワークに集約したことで高機能なネットワーク機器を導入できるようになるため、BA系においてもセキュアで高性能な管理が実現できるという。

三機工業とシスコシステムズでは、このような統合ネットワークを「空調」、「給排水」、「電気」に次ぐ、ビル設備の「第4のインフラ」として普及させていく考え。すでに、不動産業界や金融業界の顧客に対して営業を開始しており、初年度で10億円、2012年度で50億円という受注目標を掲げている。