住友信託銀行は24日、今年3月下旬をめどに、中国の南京市信託投資の出資持分の19.99%を取得し、経営参加することにしたと発表した。中国の金融機関に対し、株式取得にとどまらず経営参加するのは「邦銀としては初めて」という。

南京市信託投資は、南京市人民政府の金融持株会社である南京紫金投資の100%子会社。住友信託銀行と南京紫金投資は、2009年9月29日に南京市信託投資の出資持分譲り受けに関する基本合意書、同年11月18日に持分譲渡契約並びに戦略提携契約などを締結、株式取得と経営参加について協議を行ってきた。

住友信託銀行では今回、南京市信託投資が、中国銀行業監督管理委員会から新たに信託免許申請認可を取得したのに伴い、今年3月下旬をめどに、中国の南京市信託投資の出資持分の19.99%(119,940千元/15.8億円 今年1月末公示仲値1元=13.15円)を取得し、経営参加することにした。開業は2010年10月ごろを予定しているという。

今回の株式取得による経営参加の目的について、住友信託銀行では、「中国政府が信託会社の機能・規模拡大と外資系金融機関のノウハウ導入を推進しているタイミングをとらえ、住友信託銀行の経験とスキルを活用して日系企業を始めとする顧客に対し、信託機能を通じて新たな資金調達・運用手段の提供を目指すもの」としている。

南京市に省都を置く江蘇省には富裕層が多いことに加え、上海に次いで日系進出企業数が多く、今後も高い経済成長が見込まれる地域。住友信託銀行では、「南京市信託投資の共同経営者である南京紫金投資と、今後期待されるインフラ開発、富裕層向け商品提供、資産流動化など、中国国内信託事業へも積極的に関与し、中国信託市場の成長を後押ししていきたい」としている。