JSRは、線幅32nmハーフピッチ以降の次世代半導体で用いられると予想されるArF液浸リソグラフィのダブルパターニング(DP)用材料として、トップコートが不要な自己架橋型ArFフォトレジストを開発、線幅26nmハーフピッチの加工に成功したことを明らかにした。

26nmハーフピッチのトップダウンと断面SEM写真

同社の自己架橋型ArFフォトレジストは、熱硬化の機能を有しており、加熱処理により材料自体が硬化することで2度目の露光用フォトレジストに不溶になる。また、トップコートがなくても、液浸露光の課題となっている水滴欠陥を最小限に抑え、フォトレジストからの溶出物質が露光装置の高性能かつ繊細なレンズ表面に悪影響を及ぼさずに露光できることを証明。これにより、ダブルパターニングにおける製造プロセスをさらに簡略化することができるようになるほか、次世代露光機での高速スキャン耐性も向上しており、生産性向上が可能になるという。

同社では、同フォトレジストの開発により、フリージング材と先端ArFフォトレジストを組み合わせて使用する方式や、自己架橋型ArFフォトレジストに業界標準となっている液浸露光用トップコート「TCX」シリーズを組み合わせて使用する方式、そして今回開発したトップコートが不要な自己架橋型ArFフォトレジストを使用する方式を有することになり、カスタマの選択する製造工程に合わせたさまざまなソリューションの提供が可能になったとしている。

フリージング材使用のプロセスと自己架橋型レジスト使用プロセスの比較(図1は、フリージング材を用いる方法で、図2は、自己架橋型フォトレジストを使用する方法。今回開発したノントップコート自己架橋型レジストを使用すると、図2の「第1回目リソグラフィ工程」の際に、トップコートを使用せずにリソグラフィ工程を実施するため、トップコートを塗布する工程が省略できる)

加えて自己架橋型ArFフォトレジストに、有機と無機の塗布型ハードマスク材料を適用することで、実際のデバイス製造のようにSi基板の微細なパターン加工にも成功したとしている。

JSRの塗布型ハードマスクを使用した加工例(微細化に伴い、フォトレジストは膜厚が薄くなり、直接酸化膜をエッチングすることが困難になる。そのため、フォトレジストと酸化膜の間に無機・有機2層ハードマスクを塗布し、上層から順にエッチングを行なうことで、酸化膜の微細加工を実現させる)