iPadのiBookstore、電子書籍の中心価格帯は9.99ドルのKindle並みに?

Apple iPad

いまだ価格や販売形態などの詳細が公式発表されていないAppleの電子ブック販売サービス「iBookstore」だが、以前にも報じたように、9.99ドルというKindleと同じ書籍単価だけでなく、12.99ドルと14.99ドルという複数のオプションが用意されることが半ば公認されている。Appleの同市場参入を契機に一気に攻勢を強めた米Macmillanら大手出版社のプレッシャーに耐えきれず、価格引き上げに同意せざるを得なかった米Amazon.comの決定が、この事実を裏付けている。だが米New York Timesの報道によれば、12.99~14.99ドル台が中心になるとみられていたiBookstoreにおける新刊書籍の価格帯は、より安いものとなる可能性が高いという。

これはNYTが関係者3人から得たコメントを基に報じているもので、それによればiBookstoreで販売される電子書籍の単価、特にベストセラーとして販売されるものについては12.99~14.99ドルという価格付けになるケースはまれで、より安い9.99ドル程度になる可能性が高いようだ。9.99ドルという水準は、以前までのKindleが電子ブック単価の上限として設定していた額と同じだ。これは、Appleがベストセラーなどの特に売れ行きのよい本については、より低価格を提示するよう出版社に柔軟性を求めている結果だという。

New York Timesの集計しているベストセラーのリストを見ていると、ここで掲載されているような書籍は書店やライバルのオンライン書籍販売サイトで激しい値引きが行われていることがわかる。例えば、14.99ドルだった書籍価格がベストセラーリストに掲載されたとたんに12.99ドル以下に落ち込むなど、販売を巡って激しい値引き合戦が繰り返されることになる。

さらに通常のハードカバーと電子書籍の両方を取り扱う出版社については、もしハードカバーが一般的な販売価格の26ドル以下に値下げされた場合、電子書籍もそれを反映して半額の12.99ドル以下に設定することを要請しているといわれる。これはベストセラーに限らず、全般についての事項だ。同種の契約はAmazon.comなどにもみられる。こうしたAppleの出版社への一連の要請は、ライバルと対等以上に戦うための必要条件となる可能性がある。

提携パートナーもすでに発表され、3月のiPadローンチに向けて準備が整いつつある印象の電子書籍だが、一方で雑誌出版社や新聞社など、主にデイリーニュースや定期コンテンツを配信するメディアでは、配信形式や契約内容を巡って苦悩したり、あるいは出版部門とオンライン部門での争いが顕在化してきたりと、いまだ混乱が続いている様子がうかがえる。

例えば英国では、業界団体のNewspaper Publishers Association (NPA)が英BBC TrustのiPhoneや他のスマートフォンプラットフォーム向けニュース配信アプリの差し止めを要求する事態が起きている。BBCは日本のNHKと同じ放送協会のスタイルをとっている公共放送だが、iPhoneアプリの配信は従来のオンライン戦略を逸脱し、競争を阻害するものだと警戒している。特に今年南アフリカのヨハネスブルグで開催されるサッカー・ワールドカップで、BBCアプリによるニュースやビデオの無料配信が実施されれば、多くの視聴者が飛びつくことだろう。既存メディアによる新しい配信媒体との戦いはまだ始まったばかりだ。

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