米IBMは11日(現地時間)、米カリフォルニア州サンフランシスコで開催されていたMacworld 2010でiPhone/iPod touch/Mac OS X向けのビジネスコラボレーション製品提供を発表している。だが米Forbes誌の同日の報道によれば、IBMはこれらプラットフォームだけでなく、間もなくAppleから発売される「iPad」も市場ターゲットに入れているという。

米IBMのLotusソフトウェア製品マネージャのAlistair Rennie氏のコメントによれば、IBMの顧客らはiPadに非常に注目しており、これが同社にとっての市場参入の足掛かりとなると見ているようだ。だが同時に「まだ誰もiPadに関する利用パターンを把握していない」という懸念がある。

一方でIBMとしては、市場開拓のためにできる限り早急にソフトウェア製品ラインナップの多くを対応させるつもりのようだ。Rennie氏によればiPhoneだけでなく、iPadに最適化されたバージョンのアプリ開発も進めているようで、iPadの発売日に限りなく近いタイミングでリリースできる予定だという。

興味深いのは、明らかにApple自身がコンシューマをターゲットと表明しているiPadにおいて、IBMがあえてエンタープライズ向け製品で参入してくるのかという点だ。Rennie氏によれば、こうしたiPhoneを含むタブレット型製品は家庭と仕事の時間が混ざった重役らが好んで使うもので、彼ら自身は業務をセキュアに行える個人向けガジェットを欲しているという。

実際、このように仕事と家庭に明確な線引きをするのは難しく、iPadがコンシューマ向けデバイスとしてリリースされたとして、それを用いてすべてのビジネスソフトウェアにアクセスしたいと考える人々もいる。もしIBMの顧客がiPadを持っていたとするならば、当然期待に応えてそれをサポートすべきというのが同氏の考えだ。

IBMは先月1月18日、米フロリダ州オーランドで開催されたLotusphere 2010で、iPhoneを含むスマートフォン向け製品ラインナップの拡充を発表している。同社ではすでに電子メールをセキュア化するLotus Notes Traveler for iPhoneの提供を行っているが、今回新たにLotus Connections / Sametime for iPhoneが提供された。また今後はBlackBerry向けにLotus Quickrを提供しているように、ソーシャルネットワークとチーム内のファイル共有機能などを実現するアプリの拡充も検討しているとみられ、一気にラインナップが充実することになりそうだ。