いまだ厳しいシリコンバレー、雇用や報酬は2000年当時の水準に届かず

    Junya Suzuki  [2010/02/04]

    米ハイテク業界の雇用減少は昨年9月に底を打ち、第4四半期に初めて横ばいとなったが、同様の現象はシリコンバレーにおいてもみられる。シリコンバレーではドットコムバブルの2000年に雇用と報酬の両面でピークを迎え、10年経過したいまでもその水準には回復していない。米労働統計局(U.S. Bureau of Labor Statistics: BLS)が2月2日(現地時間)に米サンフランシスコで開催した会見で、最新データを踏まえ同地域の現状を報告している。

    BLSは米労働省(U.S. Department of Labor)の傘下組織で、米国内の雇用情勢に関するデータをまとめている。BLSが同日に発表したデータについては、米San Francisco Chronicleの「U.S. high-tech employment flattens」という記事が詳しい。それによれば、2009年6月時点でのハイテク業界全体の雇用数は41万6,000人で、2000年の54万4,000人という水準から大きく下回る。41万という数字は、1998年レベルに該当するという。ボーナスやストックオプションも含めた年間報酬額については、2009年前半での推計で、おおよそ10万5,500ドルが平均になるという。インフレ率を考慮したデータで、2002年の8万7,300ドルよりは上回っているものの、やはり2000年のピークだった12万100ドルから比べれば1割以上下回っている。もっとも、2008年の全米ハイテク労働者の平均値である6万4,539ドルと比較して、シリコンバレーでの年額報酬は10万3,850ドルと飛び抜けて高いため、これでもまだ恵まれているほうかもしれない。業種別での平均はSan Jose Mercury Newsのグラフで確認できる。ドットコムバブル当時のコンピュータメーカーの報酬がいかに高額だったかがわかるだろう。

    ハイテクというとIT以外にもさまざまな業種が含まれるが、ここシリコンバレーにおいては特にバイオ、インターネット、グリーン、ナノテクなどの最先端業種が集まっていることが知られている。一方で旧来の半導体やコンピュータハードウェアといった従来の主力だった業種の衰退が始まっており、雇用を維持できなくなりつつある。またBusinessWeekの記事によれば、サンノゼやマウンテンビュー、パロアルトなど、世界的に著名な企業が集まるハイテク企業率の高いサンタクララ郡の失業率が11.2%と他地域に比べても多く、ハイテク産業全体でいまだ厳しい情勢が続いていることがわかる。また米国全体での数字だが、National Venture Capital Associationのデータによれば、ベンチャーキャピタル投資額は2009年に37%下落して177億ドルに落ち込むなど、こうした情勢を反映したものとなっている。

    明るい兆候としては、一部企業で需要が回復し、度重なるレイオフから雇用回復モードに入りつつある様子がうかがえることだ。例えば2月3日に同社会計年度で2010年第2四半期決算(2009年11月-2010年1月)を発表した米Cisco Systemsは、同社会長兼CEOのJohn Chambers氏が回復局面に入ったことを強調するとともに、最大3000人規模の新規雇用計画を表明している。このほか、米Time Warnerから先ほどスピンオフされたばかりのAOLは全従業員の3分の1にあたる2300人のレイオフを発表したが、その一方で従来の拠点だったニューヨークからシリコンバレーに比重を移し、シリコンバレー内の従業員を従来の300人から600人へと倍増させる計画だという。このように、企業や業種によってかなり温度差が出てくるようだ。

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