MSI、GeForce/Radeon混載のマルチGPUを可能とした「Big Bang-Fuzion」

    大塚実  [2010/01/08]

    エムエスアイコンピュータージャパンは7日、Intel P55 Expressチップセットを搭載するマザーボード新製品「Big Bang-Fuzion」を発表した。Lucid製の「Hydra 200」チップを初めて搭載し、NVIDIA/ATIのグラフィックスカードの混載を可能としたモデル。同日、都内にて製品発表会も開催され、動作デモが披露された。

    動作デモ。なんとGeForce GTX 285とRadeon HD 5870による協調動作である

    発表会で何度も登場したスライド。この2点がアピールされている

    「Big Bang」シリーズは、同社のP55マザーボードにおけるゲーマー向けブランド。すでに「Big Bang-Trinergy」が発売となっており、新製品「Big Bang-Fuzion」は2モデル目。基板上のコンデンサが全てタンタルポリマー型の「Hi-c CAP」であるなど、基本的なスペックはTrinergyを踏襲するが、Fuzionではさらに、前述のマルチGPU機能も備えた。

    「Big Bang-Fuzion」(左)と「Big Bang-Trinergy」(右)。レイアウトはほぼ同じで、「nForce 200」の代わりに「Hydra 200」が搭載されている

    通常のマルチGPU、NVIDIAのSLIとATIのCrossFireでは、同じGPUのグラフィックスカードを用意する必要があるが、Big Bang-Fuzionでは、異なる世代、そして異なるベンダーのGPUであっても、1枚のマザーボード上で協調させて動作できる。

    これを可能としたのが、イスラエルに開発拠点を持つファブレス半導体ベンダーLucidLogix Technologiesの「Hydra Engine」である。SoCデバイスと専用ドライバで構成される技術であり、マザーボードにはMSIが世界で初めて搭載した。Lucidによれば、アドインボードでの製品展開も計画されているという。

    発表会には、来日したLucidのDavid Belz研究開発担当バイスプレジデントが出席、技術の詳細について説明した。

    LucidのDavid Belz研究開発担当バイスプレジデント

    Hydra Engineの動作概要

    Hydraチップは基本的に、PCI Expressのスイッチとして動作する。Hydraドライバがリアルタイムにアプリケーション(ゲーム)を解析、ロードバランスを最適化して、各GPUに処理を割り振る仕組みだ。ただし、分割方法としてはAFR(Alternate Frame Rendering)でもSFR(Split Frame Rendering)でもなく、独自のアルゴリズムで行っているという。

    Hydraドライバの動作。DirectX 9~11に対応しており、一般的なゲームにはほぼ対応できるという

    負荷については、アンチエリアシング、ステンシル、深度の各処理をモニターしているとの説明があった

    動作モードは3種類。NVIDIA GPU同士の「N-Mode」、ATI GPU同士の「A-Mode」、そしてマルチベンダーの「X-Mode」だ。利用可能なGPUの組み合わせについては、製品のWEBサイトを参照する必要があるが、最新のドライバ(バージョン1.4.106)では、Radeon HD 5000番台もサポート。この最新バージョンでは、GeForce GTX 285とRadeon HD 5870というハイエンド同士の組み合わせも可能になっている。

    N-Mode(左)とA-Mode(右)のパフォーマンス。異なる世代のGPUでも組み合わせられるのが特徴である

    そしてこれがX-Modeのパフォーマンス。5000番台が動くようになったのはつい先日とのことで、Radeonは4000番台になっている

    現状、Big Bang-FuzionでのマルチGPUはグラフィックスカード2枚までとなっているが、PCI Express x16のスロット自体は3基用意されており、今後、ソフトウェアのアップデートで3GPUにも対応する予定とのこと(Hydraチップの「LT24102」自体は4GPUまでサポートするようだ)。

    Lucid Hydraとともに、Big Bang-Fuzionでアピールされているのが、100%採用されたHi-c CAPである。発表会には、このコンデンサ(製品名「POSCAP」)の製造元である三洋電機から槇山総一郎氏が招かれ、製品について説明した。

    三洋電機・電子デバイスカンパニーの槇山総一郎氏

    CPUソケットのまわりに見えるのが「POSCAP」。このサイズでも容量は470μFもある

    POSCAPは、電解質として導電性の高分子(ポリマー)を採用したコンデンサだ。最近のマザーボードでは、アルミ固体コンデンサが一般的になってきているが、POSCAPで使われている誘電体金属は、アルミ(Al)ではなくてタンタル(Ta)。小型でも大容量を実現でき、パッケージが薄くなるために、CPUクーラーに干渉しにくいというメリットもある。

    一般的なタンタル固体コンデンサでは、電解質に二酸化マンガンが使われている。それに対し、POSCAPではポリマーが使われているわけだが、電導率は二酸化マンガンに比べて3ケタほど高い。また分子内部に酸素を含んでいないので、ショート時に発火する恐れがなく安全。高温でも安定しており、寿命は長い。

    POSCAPの構造。基本的には通常のタンタルコンデンサと同じ

    電導率の比較。POSCAPは高く、低ESR(抵抗成分)を実現

    理想的なコンデンサの周波数特性はこうだが……

    実際にはESRとESLの成分が含まれてこのように

    POSCAPはESRが低い。そのため発熱も低い

    寿命は極めて長い。85℃環境下でも12年以上

    「マザーボードに固体コンデンサが採用され始めたのは6年くらい前だが、今後はHi-c CAPの搭載が当たり前になる」とMSIの石岡宣慶氏。「マザーボードはどんどん買い換えて欲しいのがホンネだが、極めて寿命が長くなるのではないか。液漏れしない、破裂しない、爆発しない、いいことずくめ」とアピールした。

    Big Bang-Fuzionは、1月16日の発売予定。店頭価格は39,800円前後となる見込みだ。

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