帝国データバンクは12月21日、「太陽電池業界参入・参入予定企業の動向調査」の結果を発表した。同調査では、太陽電池産業への参入の時期、理由、参入企業の戦略などを聞いている。

回答のあった1,287社のうち、「太陽電池事業へ現在参入している」企業は112社、「現在参入しており、今後異なるカテゴリーの太陽電池関連事業に参入予定」の企業が8社、「太陽電池事業へ今後参入する予定」の企業は115社となった。

参入予定企業123社に参入予定時期を聞いたところ、「2010年」が35社(28.5%9、「11年」が24社(19.5%)、「12年」が7社(5.7%)、「13年」が2社(1.6%)、「15年以降」が1社(0.8%)と続き、参入予定企業の約半数となる59社(48.0%)が2011年までに参入する意向を示した。

太陽電池産業への予定時期 資料:帝国データバンク

一方、「未定」の企業は44社(35.8%)となり、参入に適切な時期を見極められない企業も少なからず存在する。なかでも、部品・材料メーカー(44.4%)と製造装置メーカー(31.5%)はセル・モジュールメーカー(27.8%)と比べて「未定」の割合が高く、セル・モジュールメーカーの動きに左右されやすい部品・材料メーカーや製造装置メーカーは参入時期を決められずにいることがわかる。

参入予定企業123社が太陽電池業界に参入する理由は、複数回答の結果、「長期的な成長が見込める産業だから」と並んで、「現事業の技術が応用できるから」が半数以上となり、上位を占めた。これより、太陽電池事業に参入する際、高い成長性を見込むだけでなく、初期投資の低さも重視されていることが浮き彫りとなったと、同社では分析している。

第3位は40社の「環境事業に注力しているから」だ。環境意識の高まりにより、企業イメージの向上やCSR(企業の社会的責任)の一環において参入を目指す企業も多いことがわかる。環境事業でも採算性が見込めるようになったことも後押ししていると、同社では見ている。第4位は、18社の「現事業が頭打ちになっているから」だった。構造不況などにより市場が飽和状態となっている業界から、新たなドメインとして太陽電池事業が選ばれている現状が明らかとなった。

参入企業120社に今後の太陽電池関連事業の戦略を聞いたところ、「大幅に拡大する」が17社(14.2%)、「拡大する」が74社(61.7%)と、拡大する意向を示す企業が7割以上を占めた。拡大傾向の企業が重視している戦略は、複数回答の結果、上から「新技術の開発」、「製品の値下げ」、「製品の差別化」、「コスト削減」となった。コスト削減と太陽電池の変換効率上昇が太陽電池業界の命題となっているため、今後の戦略として重要視している企業が多いと、同社では見ている。

太陽電池産業にすでに参入している企業が今後の戦略で重視する項目 資料:帝国データバンク