SAPジャパンは12月16日、同社が提供する統合開発/実行環境「SAP NetWeaver Composition Environment 7.2」のコンポーネントである「SAP NetWeaver Business Process Management(BPM)」の新バージョン「SAP NetWeaver BPM 7.2」を21日から提供開始すると発表した。また、同時にBPMを容易に導入するためのコンサルティングサービス「BPMアプローチ」も開始する。各企業固有の業務プロセスをIT化することで、「劇的な業務改善を可能にする」(SAPジャパン バイスプレジデント ビジネスユーザ&プラットフォーム事業本部長 福田譲氏)ことをめざす。

SAP NetWeaver BPM 7.2は、SAP ERPを含むSAP Business Suiteとの連携を図りながら、各企業で固有化/属人化しやすい業務プロセス部分のIT化を実現し、業務効率を改善していくことを目的とするソフトウェア。CRM、ERP、グループウェアなど、「多くの企業では業務の各ポイントでIT化が実現しているが、そのポイントをつなぐ部分が未実装であるため、使い勝手という面では改善の余地は少なくない」と福田氏は語る。業務の"ポイントをつなぐ部分"とは、たとえば調整、承認、手配、伝達などだ。いまだExcelで手作業で集計したり、大量のメールのやりとりで進捗を確認しているところは数多い。「こういった領域のIT化こそ、業務改善の余地が多く、またITの貢献度を高める鍵になる」(SAPジャパン ビジネスユーザ&プラットフォーム事業本部 BPPビジネス推進部 グループマネージャ 神沢正氏)

SAPジャパン バイスプレジデント ビジネスユーザ&プラットフォーム事業本部長 福田譲氏

SAPジャパン ビジネスユーザ&プラットフォーム事業本部 BPPビジネス推進部 グループマネージャ 神沢正氏

そのためにSAPジャパンが今回提供するソリューションが、SAP NetWeaver BPM 7.2となる。主な新機能としては、以下の2つが挙げられる。

業務担当者とIT担当者向けのモードの切り替えが容易に

業務プロセスのモデリングは、「ITの知識があまりない業務担当者でも書けるものでなければならない。かつ、その書かれたものが、きちんと動かなくてはならない」と神沢氏。7.2では、従来から用意しているIT担当者向けの詳細な設計モデリング画面に加え、業務担当者が"業務視点"で必要な設定項目のみ設定できるモデリング画面も提供している。開発者は業務担当者から設計モデルを受け取ると、それを設計者モードに切り替え、デザイン/開発を行うという流れになる。これにより、各業務部門主導の業務プロセス設計が可能になる。

SAP Business Suiteとの連携強化

「ERPのプロセスを、業界標準の"ベストプラクティス"とするなら、BPMの業務プロセスは各企業固有の"オウンプラクティス(Own Practice)"」と神沢氏。新バージョンではこの2つのプロセスを柔軟に連携させることが可能だ。たとえば、SAP ERPで受注伝票が登録されると、SAP NetWeaver BPM 7.2の受注プロセスが動的に起動、受注内容のチェック、承認/却下といったプロセスを経て、SAP ERPで受注処理が行われる、といった具合に、ERPに対し、会社固有の業務プロセスを経た意志決定を反映させることができる。

SAP ERPとの連携が強化されたことにより、ビジネスの変化(人事異動、新規顧客追加など)にも迅速かつ柔軟に対応できるようになった

このほかにも、プロセスレポーティング機能の強化やRFC/BAPI連携の実現、ルールフローのサポート、ユーザインタフェースの拡張などが実施されている。

SAPジャパンは、同製品のリリースとともに、業務プロセス改善を支援するコンサルティングサービス「BPMアプローチ」の提供も発表している。こちらはBPM導入に興味はあるものの、どの分野で使っていいかわからない、導入効果がわからないなどの理由で、踏みとどまっている企業に向けて提供するサービスで、無料の「BPMクイック・アプローチ」と、具体的に効果を検証する「Proof of Concept」、本格的に運用を続けていくための「導入・継続運用支援」の3フェーズから構成される。

「モデリングされたものは実行されなくては意味がない。現場でうまく動かないシステムでは業務の改善は望めない」と福田氏。同氏によれば、すでに米国ではColgate、Intel、Coca Colaといった企業においてSAP NetWeaver BPMが導入されている。とくにIntelでは「運用上の効率を"劇的"に改善したいというニーズ」があり、同製品でもって「実際に実行できるプロセスを設計し、実行するという効率的なライフサイクル管理が可能になった」結果、ビジネスとITのより密な統合が実現したという。