あなたは日々の生活の中でどの程度の"情報"を消費しているのか、あるいは時間を費やしているのだろうか。カリフォルニア州立大学サンディエゴ校(UCSD)が12月9日(現地時間)に発表した最新の調査結果によれば、2008年にアメリカ人全体が"情報"の消費に費やした時間は1兆3,000億時間。その量は3.6ゼタバイト(Zetta-Bytes: テラバイトの10の9乗倍)だったという。個人換算では1日あたり12時間、容量にして34GB、英単語数では10万500語だという。われわれが日々どれだけ"情報"の海に呑まれているかの指標になるだろう。
今回UCSDがまとめたレポート(PDFファイル)は、過去にUCバークレー校(UCB)などがまとめていた「How Much Information?」の最新版にあたる。2000年と2003年に実施された過去の調査報告では2007年の世界の総データ消費量を0.3ゼタバイト程度と見積もっていたが、それよりはるかに消費量の伸びが大きかったことがわかるだろう。なお、ここでいう"情報"とはデータ量換算の値となる。例えばテキストと動画で比較したとき、データ消費量としては単位時間に対して圧倒的に動画のほうが大きくなる。そのため、データ消費量のシェアのほとんどはTVなどの動画やゲームといったコンテンツが占めることになる。実際、上記の3.6ゼタバイトのうち、1.3ゼタバイトがTV、2ゼタバイトがTVゲームからのものだという。
1980年から2008年までの推移を比較したとき、"情報"の消費時間は年率2.6%の伸びとなる。一方で調査報告書が驚きをもって指摘しているのが、消費されるデータ量の伸びが年率でわずか5.4%程度という点だ。ムーアの法則で換算すれば年率30%程度の情報量の伸びが期待できてもおかしくない。UCSDによれば、これはTVのカラー化以降に大きな変化がなく、HD対応したデジタルTVが普及しつつあるものの、その割合はいまだそれほど大きくないと分析している。
データに関してもう1つ興味深いのが、年代別のメディアごとの"情報"の読み込まれる"量"の割合の変化だ。1960年、大衆の娯楽のほとんどはTVと出版物だった。全体での割合も4分の3を占めている。1980年になると4分の3という割合は変わらないものの、TVの占める比率が一気に伸びている。ある意味で人が最もTVに夢中だった時代かもしれない。それが2008年になり、TVと出版物合わせて全体の比率は半分にまで減少し、その分だけインターネットなどコンピュータが占める割合が上昇している。おそらく、今後もこの傾向は続くだろう。前出のDTV移行の遅れと合わせ、TV離れが進みつつある1つの兆候かもしれない。