日本オラクル 常務執行役員 アプリケーション事業統括本部長 保々雅世氏

日本オラクルは12月3日、食品・飲料業界向けの商品開発管理を目的とする「Agile Product Lifecycle Management for Process 6.0」を発表、同日提供開始した。米国では10月にサンフランシスコで行われたOracle OpenWorld 2009ですでに発表されており、今回はインタフェースや法規制対応を日本市場向けに行った上での国内リリースとなる。ラベル表示や規制対応、サプライヤとのコミュニケーションなど、特殊な事情が数多く絡む食品・飲料業界の新商品開発ライフサイクルを一気通貫でサポートすることをめざす。

日本オラクルの常務執行役員 アプリケーション事業統括本部長 保々雅世氏は、「消費財のなかでも食品・飲料は、新商品開発においていくつもの課題が存在している」とし、とくにこの不況下においては「新商品をリリースしても、ブランドを確立できない、販売目標に達しない、というケースが目立って増えてきている。消費者のニーズに合わない、タイムリーな出荷が行えていない、社内外のコミュニケーション不足など、さまざまな要因が考えられる」と業界の現状を分析する。

保々氏は食品・飲料業界が商品開発において抱えている課題として

  • 少ないアイデア
  • 長い開発期間
  • 市場投入する候補の絞り込み不足
  • 商品開発情報の散逸と再利用の低さ

の4つを挙げ、「Agile PLM for Process 6.0はこういった課題を解決するためのアプリケーション」としている。つまり、"リスクを分析して売れる商品を企画し、企画→開発→量産→市場投入までのライフサイクルを一貫して管理する"というものだ。

日本オラクル アプリケーション事業統括本部 SCM/PLM本部 ソリューション1部 シニアディレクター 岡田行秀氏

同製品は、商品のデータ情報を一元管理する「Agile Product Data Management for Process」と、新商品開発を支援する「Agile New Product Development and Introduction for Process」の2つのモジュールから構成される。日本オラクル アプリケーション事業統括本部 SCM/PLM本部 ソリューション1部 シニアディレクター 岡田行秀氏は「原材料の配合、開発/製造レシピ、商品ラベル、包装材、ワークフローなどの管理、サプライヤとの連携など、管理すべき項目が多い。また、商品の安全性を担保するために規制対応も万全でなければいけない。これらを属人的な作業に頼るのではなく、ITの力で定量化することが重要」と語る。また、人体に取り入れるものだけに、食品・飲料業界にはきびしい規制が存在し、また国や地域によってもそれらは異なるが、こういったコンプライアンス対応も情報管理モジュールのオプションである「Agile Formulation and Compliance for Process」で実現できる。

Agile PLM for Processの画面。食品の場合、製品レシピと製造レシピは通常異なるため、双方を管理する必要がある。また、わずかでも原材料の配合に変更が生じた場合、法規制や表示義務に従っているかどうか判定しなければならない

もうひとつ、オラクル製品ならではの特徴は、世界各国の企業のベストプラクティスが集約されていることだ。成功したプロジェクトの業務プロセスが標準化して実装されているため、カスタマイズ作業が原則不要で、導入も3カ月ほどで実現できるという。岡田氏は「他社のPLMは、ユーザ企業にあわせてスクラッチから作成するので、導入に半年以上かかることも多く、また、過去の情報の再利用もむずかしい。情報の一元管理と再利用、そして新商品開発をまとめて支援できるPLMはAgileのみ」とする。商品化のリードタイムを短縮し、効率的な商品管理を実現することで、ユーザ企業の競争力強化と収益改善を狙う。

価格は1ユーザ91万2,473円、最小購入ライセンス20ユーザから。