フィンランドの携帯メーカー大手Nokiaが世界のLCDパネルメーカー11社を相手に、これらメーカーが共謀してLCDパネルの価格操作を行っていたとして訴訟を起こしていたことがわかった。12月2日(米国時間)に米Wall Street Journalが報じている。対象となったのはシャープ、東芝、Samsung Electronics、AU Optronics、Chunghwa Picture Tubes (CPT)、LG Displayなどの大手に加え、日本からはほかにセイコーエプソン、日立ディスプレイなどが含まれている。

WSJによれば、Nokiaは11月25日(米国時間)付けで米サンフランシスコにあるカリフォルニア州北部連邦裁判所に対して訴訟を申請し、「不当な価格操作で当社の利益にダメージを与えた」と述べ、損害賠償を訴えているという。携帯電話最大手のNokiaは小型LCDパネル製品の最大顧客でもあり、これらメーカーによるカルテルがパネル製品の価格維持を招き、結果としてNokiaの業績に損害を与えたというのが同社の主張だ。

同様の裁判は米AT&Tによって10月にもLCDパネルメーカーを相手に起こされており、このケースではAU Optronics、LG Display、Samsungなどを含む複数のメーカーが対象となっている。同ケースにおいては操作期間について1996年1月から2006年12月までという具体的な数字が示されていることもあり、「非常に長期間にわたる共謀」という名目が掲げられている。

NokiaのケースでAT&Tのような期間指定が行われているかは不明だが、米国では米司法省(DOJ)がLCDの価格操作について2006年に調査に入っており、こうした行為が2001年4月から2006年12月まで行われていたことを2008年に認定しており、Nokiaはこの決定を受けて裁判に踏み切った可能性がある。DOJの認定ではシャープ、CPT、LG Displayの3社が2008年11月に認定で和解しており、5億8,500万ドルの罰金の支払いに応じている。また価格操作メーカーに挙げられなかったSamsungも、捜査段階での協力に応じていたという。こうした一連のLCD価格カルテルでは、欧州委員会(EC)も今年5月に複数メーカーを相手に告発を行っている。

Nokiaによれば決着には数年の歳月が必要との見方をする一方で、これらメーカーとの個別の和解案について話し合いを行う計画もあるという。