世界最古の歴史を持つ科学アカデミーの王立協会(The Royal Society)は11月30日(英国時間)、2010年の創立350年を記念した特設サイト「Trailblazing」を公開した。これは同協会を通じて過去に発行された論文のハイライトを集めて時系列で紹介するもので、古くはアイザック・ニュートンの光のプリズムに関する論文から、比較的最近のスティーブン・ホーキングのブラックホールに関する論文まで、歴史的経緯を振り返りながら科学の進化を感じ取れる仕組みになっている。

「Trailblazing」では時系列で論文を追える

この種の科学アカデミーとしては最古の歴史を誇るだけあり、17世紀以降の多くの科学者が同協会の会員となっているなど、現代科学の生き証人とも呼ぶべき存在だ。Trailblazingで紹介されている論文は、1666年の犬間輸血に関する論文から始まり、ニュートンを協会理事の座に押し上げることとなった1672年の光と色に関する研究論文、発明家で米国建国に尽力した政治家でもあるベンジャミン・フランクリンによる1752年の凧による雷実験の論文、キャプテン・クックがいかに船員の健康を維持しつつ世界探検を成し得たのかについての研究論文、そして興味深いところでは当時ロンドンを震撼させていた8歳の神童アマデウス・モーツァルトを科学的観点から考察した論文など、歴史上の名だたる人物がリストに登場している。

Trailblazingのページは年表形式で表示され、科学論文の発行された年が時系列で確認できるほか、それとは別に歴史上のイベントも表示されており、科学史と世界の歴史を対比しつつインタラクティブに体験できる学習形式のコンテンツになっている。年表上の印をクリックすると論文の要約と写真が表示され、関連記事のリンクのほか、該当する論文が参照できる。論文は当時そのままの形でデジタルアーカイブされており、ハイライトにあたる部分を参照して読むことができる。科学史に興味ある方は、ぜひ一読してみてほしい。