三洋電機は11月26日、同社の独自技術を用いた結晶系太陽電池「HIT太陽電池」が2010年度末までに600MW/年の生産体制の構築にめどが立ったことを受け、国内市場における販売戦略の強化、ならびに2015年度までにHIT太陽電池の生産規模を1.5GW規模まで引き上げることを明らかにした。
同社ソーラー事業部 事業企画部 部長の脇坂健一郎氏は、「当社は常に変換効率の向上を最重要課題と位置づけ太陽電池の開発を行ってきており、10月からはモジュールレベルで変換効率20.0%を実現した製品を欧州市場において投入を開始した」とし、今後も太陽電池市場の牽引役は欧州が中心となるとした。ただし、米国や日本でも市場が拡大してきており、世界的に市場は成長が続いていくだろうという予測を述べた。
そうした世界規模での市場拡大に対応するために、インゴットウェハ製造強化として、三洋ソーラー(オレゴン)を、モジュールの製造強化としてハンガリー、メキシコでの製造能力を、そしてセルは「技術流出を防ぐ意味もあり、国内に集中させている」(同)としながらも、二色の浜工場および島根三洋電機ともに増強が図られており、「こうした取り組みで2010年度末までに年産600MW規模をセル、モジュールともに確立できるめどが立ったわけだが、市場の成長は今後も続くため、2015年度末までには生産能力をさらに拡大させ、年産1.5GW規模に拡大、これを実現することで、"グローバルTOP3"を目指す」(同)と、生産規模で世界のトップクラス入りを目指す意欲を見せる。
こうした生産規模増大を支える戦略の1つとして、同社は国内での販売の強化も進めていく計画を打ち出している。太陽電池モジュールなどの国内販売を主に担当する三洋ソーラーエナジーシステムの代表取締役社長である亀田正弘氏は、「「民主党のマニフェストでは、CO2排出量を1990年比で2020年までに25%、2050年までに60%超の削減を達成するとしており、これに伴い2020年までに太陽光による発電量を現在の55倍に引き上げる計画としている。また、電力買取制度や太陽光発電システムの購入助成の拡大などが追い風となり、2020年には4~5軒に1軒が太陽光発電システムを導入するであろうという試算を政府として掲げている」と、国内市場が活性化していくことを強調する。
特に太陽光発電システムの導入補助は政府が2009年1月より復活したこともあり、申請件数は年度末の3月末までの3カ月で2万2,501件と急速に増加した。また、2009年度も4月1日から2010年1月29日までの期間で201億円の予算を計上していたが、上期の申請数が5万2,493件となっており、急遽補正予算220億円が2010年3月31日まで分として確定、募集期間の延長が決定している。こうしたこともあり、住宅用太陽光発電システムの着工件数は、補助金制度が凍結された2006年度、同07年度と減少傾向にあったものを、同08年度で上昇に転じ、2009年度では「上期だけで約5万2,500件、10月単月で1万4,000件強、11月も1万1,000件程度と高い成長を示しており、年間では当初見込みの10万件を大きく上回る12~13万件程度となる見込み」(同)と、相当な効果があったことを強調する。
さらに、国内市場の成長を加速させそうなのが、11月1日より導入された日本版フィード・イン・タリフ(FIT)ともいえる「太陽光発電の新たな買取制度」である。これは、太陽光発電システムにより発電された電力から家庭内で消費する電力を差し引いた余剰電力を従来の買い取り価格の2倍(48/kW)で、今後10年間電力会社に売ることができる制度。補助金制度も政府のみならず、都道府県および市区町村レベルでの補助もあるため、これらを組み合わせることで、「例えば東京の台東区の場合、HIT太陽電池を用いた3kWシステムを設置した場合、年間予測発電量は3,347kWh。補助金がない場合の回収期間は約26年だが、各自治体などからの補助金と電力買取制度を活用した場合、11.5年程度での回収ができ、活用の仕方しだいでは10年を切る程度での回収も可能であろう」(同)との見方を示す。
補助金政策と電力買取額の強化という2つの施策により、日本における太陽光発電システムの市場拡大が見込まれるわけだが、こうした状況に対し、三洋では「流通チャネルの拡大・強化を通じて、2012年度で国内トップシェアを獲得したい」(同)とする。
具体的には、主力販売網である太陽光発電システムの販売・施工・アフターサービスなどを行う有力な販売店の全国展開などのサポートのほか、商社系の販売ルートの開拓によるBtoB向けビジネスの強化、家電量販店などによる地域販売の強化の3つを行っていく計画。
また、パナソニックとの連携によるブランド強化や、「エコキュート」やIHクッキングヒーターなどとの組み合わせによる「太陽光発電・オール電化住宅」と電力買取制度の組み合わせによる光熱費の削減提案などを行っていき、「HITでFIT」をキーワードに消費者にアピールできれば、とする。
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