金融危機に端を発する経済不況が、比較的裕福な層の多いここシリコンバレーにおいても影響を及ぼし始めていることが、あるデータから明らかになっている。米Wall Street Journalの11月19日付けの記事によれば、シリコンバレー地域を中心とする寄付資金運用団体が扱う資産が過去2年間で大きく目減りし、実際に拠出された額も前年比で4分の1程度になっていることがわかった。
今回のデータを出したのはシリコンバレー中心部にほど近い米カリフォルニア州マウンテンビューに拠点を置くSilicon Valley Community Foundation (SVCF)。同財団は、現地に住む多数の裕福な人々や億万長者らから資金を集め、各種団体やプロジェクトへの寄付を行っている。こうした仕組みはDonor Advised Fund (DAF)と呼ばれ、資金提供者や団体が寄付目的で資産を一時的に預け、DAFを通して資金提供先や金額、タイミングなどを管理できる。こうしたDAFは同地域に多数存在するが、その理由は寄付によって税控除のメリットなどを受けることが可能なため、純粋な寄付行為のみだけでなく、資産運用の一部として活用されている背景がある。シリコンバレー地域にはもともと富裕層が多いほか、技術系企業のIPOによるキャピタルゲインで億万長者となった人物らが多く、こうしたDAFのニーズも高い。
SVCFによれば、実際過去何年にもわたってこうしたDAFの活用が続いていたが、2009年半ばを境に状況が変わったという。たとえば2009年8月末までの集計で、SVCFを通して拠出された寄付金の年間総額は4,620万ドルだったという。2008年8月の時点での年間総額は1億6,800万ドル、2007年は1億1,770万ドルで、大きく減少している。またDAFに預けられた資産も2007年時点の9億9,750万ドルから比較して、2008年時点では6億9,350万ドル、2009年時点では7億2,110万ドルとやはり目減りしており、厳しい運用を迫られている様子がうかがえる。
少ない資産で寄付を進めるため、より提供先を吟味する傾向が続いているという。たとえば米Prosper CEOのChris Larsen氏は一時的ながら資金拠出先を絞る計画で、San Francisco State University向けのスカラーシップへの資金提供は続けるつもりだが、教育機関向けの研究プロジェクトへの提供は控えるという。このほか、既存の寄付ベースをそのまま維持している個人もいれば、金融不況で自身の資産が20%ほど目減りしているにもかかわらず、寄付を続けているケースもある。後者の場合は複数年契約結んでいるため、寄付を辞退できないという理由もあるようだ。
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