Intelは11月12日、都内で記者説明会を開催し、2010年に登場予定の次世代vProの概要を公開した。

IntelのVice President, Intel Architecture Group General Manager, Digital Office Platform DivisionであるRicardo J. Echevarria氏

同技術についての説明を行ったIntelのVice President, Intel Architecture Group General Manager, Digital Office Platform DivisionであるRicardo J. Echevarria(Rick Echevarria)氏は、vProを構築するキーメッセージとして、「インテグレーションおよびイノベーションに関する技術」「vProがいかに企業で利用されているか」「市場の環境、2010年の見かた」の3つを掲げた。

技術的な話としては、同社は22nmプロセスまでのロードマップをすでに提示しており、「ムーアの法則は少なくとも4年は継続していくことが示されている。そうした中において、我々は過去4年間でvProとしてシリコンにITを実装するという取り組みを進めてきた」(Echevarria氏)とし、こうした技術はエンドユーザにはパフォーマンスを、ITマネージャに対してはセキュリティと運用管理の向上を提供してきたと語る。

特に「セキュリティと運用管理は企業として切実な問題になっており、vProのリモート監視機能などを活用することで、柔軟性を持たせながら、ROIを高めることが可能になる」(同)とし、かなりの企業がvProとそのエコシステムを活用することで、エネルギー効率の向上やセキュリティの向上などを実現していることを強調した。

高まるセキュリティ対策と運用管理性の向上

vProの採用件数の推移

また、2010年の市場をいかに見るか、ということについては、「現在、経済的にはポジティブな方向に進んでいる」(同)との見方を示す。さらに、これまで多くの企業がPCの更新を止めていたが、例えばデスクトップPCでは5年、ノートPCでも4年経つようなPCが出てきており、こうしたPCでは管理が難しいことに加えて、3年以上昔のPCはセキュリティパッチの適用などのリスクから、最新型のPCに比べて58%セキュリティリスクが高いという統計もあることを提示。「2010年の上期には次世代ビジネスクライアントの提供を予定している」(同)とした。

これは、市場の回復に加え、Windows Vistaへの移行を行わなかった企業が「タイミング的にWindows 7を導入するのではないか、という期待もあり、市場は前向きな動きになると見ている」(同)とした。

こうした動きに対し、2010年に登場する第4世代vProでは、従来の3本柱「電力効率性能」「運用管理性」「セキュリティ」をそれぞれ拡張する計画とする。

2010年に登場する次世代vProは「セキュリティ」「運用管理」「電力効率」の3点を強化

プロセステクノロジー的には、Nehalemアーキテクチャがべースの「Westmere」(開発コードネーム)世代のプロセッサが登場する。vProプラットフォームもこれをベースとして提供されることとなる。いくつかのラインナップが予定されているとしているが、45nmプロセス技術によるグラフィックチップを統合したMCP(Multi Chip Package)化により、従来の3チップ構成から2チップ構成へと移行されるほか、AES(Advanced Encryption Standard)暗号の処理を高速化するAES-NI(AES New Instrunction)命令が追加される。

32nmプロセス世代のプロセッサ「Westmere」

加えて、運用管理性の向上に向け「第1世代のvProをリリースしたときから多くの要望があったKVM(Keyboard-Video-Mouse)リモート管理機能がようやく搭載される」(同)という。これにより、2つのPC間で外付けのKVMスイッチを用いずに管理することができるようになるため、「PC間のセキュアなやり取りをOSの起動の有無に関わらず相互アクセスが可能になるため、運用管理性が向上することとなる」(同)と説明する。

KVMリモート管理により運用管理性が向上

また、「最も重要度が高いのが"暗号化"」(同)としており、AES-NIの活用などにより、暗号に最適化されたプラットフォームとしてデータの暗号化を加速させることで、暗号化対応のアプリケーションに対するパフォーマンスを非対応状態に比べで25%向上させることを確認したほか、次世代のアンチセフト(盗難防止)機能により、物理的なほか、データそのものの保護も可能となるとする。加えて、リモート・エンクリプション管理により、vProを使うユーザーに対し、暗号化されたドライブを、エンドユーザーがその場に居なくても、運用管理者などが直接管理することが可能となり、結果的に管理の容易性を向上させることにつながるとしており、「2010年はWindows 7との連携により、ビジネスコンピューティング環境の変革を支援していく」(同)ということを強調した。

ハードウェアベースのデータセキュリティ機能が強化

なお、Intelは、自社のPCへのvPro導入を進めており、クライアントPC約9万4,000台のうち、4万5,000台がvProが有効化されており、Salesforceなどの16ブランドが活用されているとしており、2010年にはWindows 7の導入を進めることで、今後3年間の更新サイクルで1,100万ドルの正味現在価値を予測しているとしている。

2010年はIntelもWindows 7への移行を進める計画