凸版印刷とカシオ計算機は、これまで両社が共同開発を行ってきた有機ELディスプレイの早期量産化を目指すため、中小型ディスプレイ事業に関する協業を行っていくことで合意したことを発表した。これにより、カシオは中小型ディスプレイ会社に関する新会社を設立。その株式の一部を凸版に譲渡することで、現在カシオが製造、販売を行っている中小型TFT-LCDに、有機ELのラインナップが加わることとなる。

新会社では、両社の技術を用いて、高品質かつ低コスト化が可能な有機ELディスプレイを早期に量産化するとともに、カシオの中小型液晶ディスプレイ事業ノウハウを生かし、有機ELディスプレイの用途開発を行い、カシオの既存顧客を中心に早期の販売開始を目指す予定。また、中小型TFT-LCDについても、引き続きカシオ独自の高精細、高透過率LCD表示技術である「HAST(Hyper Amorphous Silicon TFT)」を用いた高性能、高品質製品の開発・販売を行っていくとしている。

具体的な事業化のスケジュールは、カシオが2010年2月末までに100%出資の新会社を設立、2010年4月1日に会社分割によりカシオの中小型TFT-LCD事業および有機EL開発の設備、人員を承継するほか、高知カシオの全株式も承継し、新会社の100%子会社とする計画。また、同2010年4月1日を目標に新会社の株式の80%をカシオから凸版に譲渡することが予定されている。

なお、これにより誕生する新会社の資本金は4億円で、代表取締役社長にはカシオの執行役員でデバイス事業部長の大野一郎氏が就任する予定。従業員数は約600名で、初年度約350億円の売り上げを目指すとしている。