アカマイは11月4日、楽天が運営するインターネットショッピングモール「楽天市場」に、同社のコンテンツ配信ソリューション「Dynamic Site Solutions」が採用されたことを発表した。これにより、楽天は店舗ページの画像・動画に関わるサービスの向上を図る。

アカマイ 代表取締役 小俣修一氏

アカマイの代表取締役を務める小俣修一氏は、「当社のソリューションは、グローバルのトップ40のECサイトすべてに導入されている。国内では、ビックカメラやユニクロといった実売を主として行っている企業のECサイトでの導入事例はあるが、ピュアなEC企業での大規模な導入はこれまでなく、楽天が初となる」と述べた。

楽天はアカマイのソリューションを、2006年にはイーバンク銀行などグループ会社へ、2008年には台湾など海外ECサイト展開へ活用してきたが、国内のECサイトである楽天市場のシステムでは採用していなかった。

楽天がアカマイのソリューションを導入するに至った背景は、同社のECサイトに参加している店舗・施設による画像サービスが増加するとともに、彼らから動画サービス提供へのニーズが寄せられていたことがある。

楽天 取締役 常務執行役員兼開発部長 杉原章郎氏

楽天の取締役 常務執行役員兼開発部長を務める 杉原章郎氏は、「施設・店舗・顧客から期待されるデータの量が当社の売上の伸びを上回っており、サーバやストレージといった設備情況が追いつかない状況だった」と話した。

楽天では、アカマイのソリューションを導入することでトラフィックが3分の1に減り、これに伴ってコンテンツ配信に用いるサーバの台数も3分の1に減らすことができたという。加えて、海外からのレスポンスが向上し、海外流入への拡大に貢献した。

同氏は、国内システムへのアカマイのソリューション採用に踏み切った理由として、「台湾のサイトで画像の読み出しが遅いという問題が発生した時、アカマイのソリューションを用いて問題を解決した。台湾での成功が国内の楽天市場へのアカマイ採用を後押しした」と語った。

コストについても、これまでよりも下がっていることが明らかになっており、また、コンテンツ配信に用いていたサーバを他の業務に振り向けるというメリットを享受しており、「コストダウンは図れた」(杉原氏)という。

小俣氏は、ワールドワイドのECサイトで同社のソリューションが採用される理由として、同社がECサイトでコンテンツ配信を行う際に課題となる「HD配信」、「モバイルへの配信に有益な帯域に応じて柔軟に配信するアダプティブ配信"」、「クラウドコンピューティング」、「WAFといったPCIDSSとWebセキュリティ」に対応している点を挙げた。

ECサイトにおけるコンテンツ配信の課題に取り組んでいるアカマイ