Xilinxの日本法人であるザイリンクスは、産業技術総合研究所(産総研)が開発したサイドチャネル攻撃評価ボードおよび部分再構成評価用ボード「SASEBO-GII」に同社のFPGAである「Virtex-5」および「Spartan3-A」が採用されたことを発表した。同ボードは、東京エレクトロン デバイス(TED)の自社ブランド「inrevium」として商品化、2010年1月より販売される予定で、すでに先行予約の受付は開始されている。

産総研が開発したサイドチャネル攻撃評価ボードおよび部分再構成評価用ボード「SASEBO-GII」(販売は東京エレクトロン デバイスが担当)

SASEBO-GII は、暗号ハードウェアのサイドチャネル攻撃評価/部分再構成の評価用ボードで、これを用いることで暗号回路モジュールの開発、性能・安全性評価が容易に行えるようになり暗号モジュールの安全性評価における国際標準化への貢献が期待される。

従来の暗号モジュールについては、各国の標準規格などに対応しているが、"サイドチャネル攻撃"などの新しい攻撃方法には未対応であり、同ボードは、これらの規格策定のための標準実験プラットフォームを目指し、産総研が2006年度より研究、開発を行ってきたものの最新版。

今回、Virtex-5を採用したことで、前世代の「SASEBO-G」に搭載されていた「Virtex-II」に比べてロジック容量が4倍から7倍に増加しており、SASEBO-Gでは実装できなかった複雑な回路の評価が可能となっている。

また、ボード面積も従来の1/3へと、小型・高集積化が実現されているほか、先端の部分再構成技術も実装したことで、より高度なハードウェアセキュリティシステムの研究開発が可能となっている。

さらに、高度な物理攻撃評価実験向けに電源やクロックを外部から制御するための拡張入力端子も用意しているほか、コンフィギュレーション方式としては SPI-ROM とSlave-SelectMapを用意、Spartan-3Aから制御する機構により、動的および静的な部分再構成システムの評価が可能である。加えてUSB ケーブルからのコンフィギュレーション機能もサポートする。

今後は、国際的な暗号モジュールの評価試験などにも利用される見込みで、さまざまな用途において標準ボードとしての活躍が期待されると同社ではしている。