NRIセキュアテクノロジーズは10月28日、情報資産を重要度別に識別・整理するソフトウェア「SecureCube / Labeling」の提供を開始したと発表した。同製品はクライアントPC用の「Personal」と、サーバ用の「Enterprise」の2種類があるが、Personalは同日より無償で配布される。

SecureCube / Labeling Personalは、利用者が自身のPCで電子ファイルを作成して保存する時点で、そのファイルの重要度を選択してラベルを付与する。標準で用意されているラベルは、「極秘・関係者限・社内限・公開」の4種だが、ラベルはカスタマイズも可能だ。ラベルを付与した電子ファイルは、格納場所や機密情報区分などの利用者が設定した項目に沿って情報資産管理台帳としてまとめることができる。

SecureCube / Labeling Personalが導入されたPCで稼働するPowerPointでファイルを保存する際、その重要度を設定すると(左)、それを示すマークがすべてのページに表示されるようになる(右)

同社では、このようにクライアントPCで重要度に応じたファイルの管理を行うことで、情報漏洩を防ぐための対策と重要度の把握・管理を可能とする基礎が作り上げられるとしている。現在の管理対象のファイルはMicrosoft Officeのファイルのみだが、今後は拡大していく予定だという。

一方、SecureCube / Labeling Enterpriseは管理サーバとして利用され、Persona」と組み合わせることにより全社レベルで統合的な情報資産の管理を実現する。同製品の発売は来年1月に行われる予定。

両製品の主要機能は次のとおりだ。

SecureCube / LabelingのPersonalとEnterpriseの主要機能

SecureCube / Labeling Personalの利用の流れ(左)と同Enterpriseの利用の流れ(右)

NRIセキュアテクノロジーズ代表取締役社長 増谷洋氏

代表取締役社長を務める増谷洋氏は、同製品を提供するに至った背景について、「現在、企業では電子ファイルの識別に関するルールはあるものの、個人任せになっており、守られていない」と説明した。「当社を含むISMSを運用している企業では、情報資産の管理の難しさが課題となっている」

同氏によると、これまでネットワーク、サーバ、PCなど、データを取り巻く部分に対してはセキュリティ対策が行われていたが、データそのものを守る対策は手付かずだったという。「これからの情報漏洩対策は、DLP(Data Leak Prevention)製品といったデータ自体を守ることに重点を置いたものが主流となる」

同製品の特徴の1つが、クライアン版が無償で提供されることだ。この点について、同氏は「SecureCube / Labelingはとにかく多くの人に使ってもらって、情報を守っていただきたい。そのため、どんな人でも利用できるよう操作方法も容易になっている」と述べた。

また、同製品は他の製品との連携を前提としており、「他の製品との連携でシナジー効果を出したい」(増谷氏)という。例えば、DLP製品と連携することで情報の外部流出の阻止を、また、メール向けセキュリティ製品を連携することでメールの誤送信の防止を実現する。

同社によると、現時点ではどのベンダーのどの製品と連携が可能かは発表できないが、すでに10社程度のベンダーと話し合いがもたれているそうだ。

今後は、来年1月にEnterpriseをリリースし、さらに、連携ソリューションとパートナーを拡充しつつ、英語や中国語対応などグローバルでの展開に注力していく。