インサイダー取引を繰り返し行って巨額の利益を得ていたとして米金融街や大手企業幹部らを中心に逮捕者が相次いでいるヘッジファンドの米Galleon Groupによる不正取引事件だが、この情報提供者として米Advanced Micro Devices (AMD)の元CEOであるHector Ruiz氏の名前が挙がってきている。米Wall Street Journal紙が関係者の話として27日(現地時間)に伝えている。

Galleonについては今月初め、インサイダー取引の疑いがあるとして米司法省からの調査が入っており、同社共同設立者のRaj Rajaratnam氏をはじめとする同社幹部、取引関係者、そしてインサイダーの情報提供者となった大手企業ら幹部らが相次いで逮捕されている。高い営業成績から大手投資機関を中心に数多くの資金を集めてきたGalleonだが、問題が発覚して幹部らの逮捕が発生した今月中旬以降、投資家らの資金引き上げ要請が相次ぎ、21日にはついに同社の閉鎖を発表した。普段であれば米Wall Streetなどの金融関係者内部で収まるような事件ではあるが、米Intelからは幹部の1人であるRajiv Goel氏が、米IBMからはRobert Moffat氏がというように、情報ソースとなったIT企業大手幹部も逮捕されている。またGalleonは多数のシリコンバレー企業への投資や取引にも関与していたといわれ、捜査当局はこれら企業との関係を精査し始めており、IT業界も不正取引とは無縁ではなくなりつつある。

こうしたなか、名前が挙がってきたのがAMD元CEOのRuiz氏だ。同氏は本件の被告らが不正取引を行っていたといわれる2008年に、AMDでCEOの職に在籍している。被告人となっているDanielle Chiesi氏の弁護人の1人は、当時、同人物への内部秘情報受け渡しを行っていたのがRuiz氏だったという。今後の展開は不明だが、Ruiz氏やAMDに何らかの調査が入る可能性が高い。