A List Apart - for people who make websites

Robert Hoekman Jr.氏がA List ApartにおいてThe Myth of Usability Testingのタイトルのもとユーザビリティテストに関するよく言われている誤解についてまとめている。ユーザビリティの専門家であるRolf Molich氏の調査報告の例を引き合いに出しながら、ユーザビリティテストにおいて注意すべき点をまとめている。Rolf Molich氏の例では何チームかに分けてユーザビリティテストを実施したところ、ごく少数の問題だけが共有で報告され、あとはほかのチームでは問題として報告されないものがほとんどだったという。こうした結果から、対処すべきユーザビリティ問題に優先順位をつけることは難しいという流れだが、Robert Hoekman Jr.氏はそれは試験の方法に問題があると見ているようだ。紹介されている注意点は次のとおり。

適切な質問、適切なユーザを選ぶことが大切

適切なユーザと適切な質問を選ぶ必要がある。たとえばはじめてサイトにアクセスするユーザに対してユーザビリティを改善したい場合に、既存のユーザに対してユーザビリティテストを実施しても意味がない。またユーザビリティチームに参加しているユーザの経験レベルやスキルレベル、能力の度合い、持ち合わせている知識などは千差万別といえる。こうした結果はあくまでも改善への取っ掛かりであり参考にするためのものであり、これが最終的な評価ではない。

適切なコンテキストの中で評価していかなければ意味がない

ユーザの作業の流れやコンテキストを無視してユーザビリティテストを実施しても意味がない。たとえばNYTimes.comはユーザになるべく長い間サイトにとどまって記事を読むことを希望しているし、Googleはユーザがすぐに検索対象にたどり着けるようになるべく検索サイトにとどまらないようにすることを望んでいる。こういった背景や文脈をなしにして試験を実施しても意味がない。

ユーザビリティテストはデザイナにデザイン情報を提供する

ユーザビリティの専門家はユーザビリティの問題を洗い出して優先順位をつけ、それらに適切なアドバイスをつける必要がある。逆に優れたデザイナはデザインの段階でその問題を出さないようにすることが求められる。つまり、ユーザビリティテストはデザイナに対して優れたデザインを実施するためのツールとしての力を与え、実際に試験システムを構築する費用を削減することにもつながってくる。

ユーザビリティテストを納得させる

ユーザビリティテストにはコンテキスト、プロジェクトゴール、ユーザゴール、ユーザフィードバック、利用メトリックから全体像を見渡すのに役立つほか、関係者に対する刺激源としての効果もある。早期の段階で問題を回避できるようにチームをより戦略的な方向性へ向かわせる効果が期待でき、また内部ですべてを回している場合と比べてユーザビリティテストは利害関係者への説得力ももっている。

現実に適用させていく

問題点を洗い出すために利用できるヒューリスティックな評価ツールがいくつかある。たとえばwww.fivesecondtest.comCrazy EggUser TestingChalkmarkなど。