Thunderbirdを手がけるMozilla Messagingチームが22日(米国時間)、Mozilla Labsの新オープンソースプロジェクト「Raindrop」を発表した。オープンWeb技術を用いて、真に実用的なWebコミュニケーションの実現を目指す。

電子メール、IM、ブログ、SNS、マイクロブログ、動画/写真共有、ドキュメント共有など、今日のWebユーザーは実に様々なコミュニケーション手段を利用している。1つずつは便利でも、こうしたサービスやツールが増えるほどに、すべてを把握し重要なメッセージにきちんと対応するのが難しくなる。「それでも便利なデジタルコミュニケーションと言えるのか?」という疑問からスタートしたのがRaindropだ。

サービスやツールにWebユーザーが振り回されるのではなく、ユーザーを中心にあらゆる種類のメッセージが処理される"ユーザー・セントリックなコミュニケーション体験"を目標としている。ミニWebサーバが、電子メール、ブログやTwitter、SNSなど様々なソースからのメッセージをフェッチし、内容を分析して効率的なコミュニケーションを実現する。メッセージの的確な分類がポイントの1つ。また統合コミュニケーションをユーザーがスムースに操れるインターフェイスがポイントになる。たとえば、友だちがYouTubeにアップロードした動画へのリンクを送ってきたら、新しいWebブラウザタブでYouTubeを開かなくてもメッセージクライアントから直接動画を確認できるという具合だ。

Raindropのユーザーインターフェイスのイテレーション、最初の叩き台

「今日のWeb利用に即した新しいメッセージング・プラットフォーム」というとGoogleのWaveを思い出す。Waveが新しいメッセージング・システムに取り組んでいるのに対して、Raindropはオープンで拡張性の高いインターフェイスにあらゆるメッセージング・システムを統合する手法に焦点を当てている。そのためWaveのメッセージング・プロトコルも、将来Raindropに統合される可能性がある。

開発者はHTML、JavaScript、CSSなどのWeb標準を使って拡張機能を作成したり、またAPIを通じて新たなサービスを構築できる。Raindropチームは、プロジェクトのコンセプトを伝えるのを目的としたプロトタイプ「Raindrop 0.1」を用意した。同バージョンには、Webベースの統合開発環境Bespinが組み込まれている。