Integrated Device Technology(IDT)は10月1日、都内で記者説明会を開催、同社の静電容量方式タッチ製品ブランドである「IDT PureTouch」シリーズとして、LEDドライバ搭載タッチコントローラ「LDS6100」ファミリを発表した。また、併せて、2009年7月に発表したビデオプロセッシング製品群「HQV」の第1弾製品ブランド「IDT HQV Vidaプロセッサ」の詳細と実デバイスによるデモを公開した。

「LDS6100」ファミリのパッケージ外観

「Vidaプロセッサ」である「VHD1900」のパッケージ外観

タッチセンサ技術について、同社General Manager,Advanced User InterfaceのAlvin K.Wong氏は、「ヒューマン・マシン・インタフェース(HMI)として各種センサが活用されるようになった結果、想像以上にセンサを活用したシステムが登場している。例えばiPhoneは静電容量方式のタッチセンサが用いられているし、Wiiには加速度計が搭載されている。こうしたセンサを活用したシステムは拡がりを見せており、2012年までに10億台以上の機器が対応する見込みだ」と市場の拡がりを見込む。

こうした成長市場に対し、同社もタッチセンサ製品の提供を行ってきており、LDS6100ファミリは同社タッチセンサの第2世代ファミリと位置づけられている。

主な特長としては、1チップにタッチセンサとLEDドライバのブロックを用意。LEDドライバを搭載しているため、LEDとタッチイベントとのホストシンクロナイゼーションがないほか、タッチしてLEDが反応する際の遅延がなくなるという。同ドライバは、各LEDの動作をカスタマイズすることが可能である。

LDS6100ファミリの製品機能一覧

また、Direct Communication Mode(DCM)をオプションとして用意。同モードにより、タッチボタンごとに1つのステータスピンを割り当てることで、ホストに対して専用の出力を選ぶことが可能となり、機械式ボタンのような動作をそのままタッチ操作に置き換えることができるようになる。

DCMにより機械式ボタンからタッチボタンへの移行を感覚的に行うことが可能となる

さらに、プロセスとして180nmをシュリンクした160nmプロセスを採用。外部マイコンなどを使用せずにタッチセンサをコントロールすることが可能なため、従来製品や競合製品と比べ、低消費電力(アクティブ時で最大125μW)を実現している。

競合製品との消費電力比較

IDTのGeneral Manager,Advanced User InterfaceであるAlvin K.Wong氏(手に持っているのはLDS6100のデモボード。分かりづらくて申し訳ないが、指で触っている部分の青色LEDが点灯している)

デモボード(黒い部分がタッチセンサになっており、触るとそれに応じたLEDが点灯するほか、小型モータが作動し、押されたことに対するリアクションとなる。このモータの挙動やLEDの点灯パターンなどはソフトウェアでカスタマイズが可能)

動画のノイズを低減するVidaプロセッサ

一方のVidaはVideo processing、Internet Video clean up、Detail Enhancement、Adaptive algorithmsのそれぞれ頭文字をつなげた略称を名称としたプロセッサで、HQVプロセッサとしては第3世代品となる。

同製品は、第3世代アルゴリズムとして、「HQV StreamClean」「HQV Adaptive Scaling」「Auto HQV」の3つのアルゴリズムを新たに取り入れたほか、既存アルゴリズムの強化、簡素化を図り、アルゴリズム全体のサイズをコンパクトにしたという。

IDTのSr. Manager,Strategic Marketing,Video and Display OperationであるDerry Murphy氏

同社Sr. Manager,Strategic Marketing,Video and Display OperationのDerry Murphy氏は、「Vidaは、独自のアルゴリズムを用いることにより、ビデオの画質をいかに向上させるかがポイントだった」とし、家電などがネットワークに接続するようになった結果、そうした画面上で再生されるストリーミングで生じるノイズなどを低減することが求められていたと説明する。

Vidaに搭載されている主なノイズ低減技術は、先述の3つのアルゴリズムに加え、「HQV Multi-Directional Diagonal Filtering」「HQV Temporal Noise Reduction」などがある。こうした技術を用いることで、ジャギの低減やテンポラルノイズ、モスキートノイズ、ブロックノイズなどの低減が可能となっている。

HQV StreamCleanによりモスキートノイズやブロックノイズを低減することが可能

また、「HQV Motion Adaptive Deinterlacing」により1080iを1080pにデインタレースすることが可能であるほか、「HQV Adaptive Scaling」と「HQV Resolution Enhancement」により、SD画像を1080pに擬似的にスケーリングすることが可能だ。擬似的としているのは、SD画像の80%の画素を維持してアップコンバートを行うため。ただし、その場合でも各種のノイズ低減技術が有効に働くため、「Blu-Rayの画像と比較しても、我々のチップでアップコンバートしたものは遜色ない画質を提供することができる」(Derry氏)とする。なお、最大解像度は1920×1200(WUXGA)まで対応可能とのこと。

「HQV Adaptive Scaling」によりSDからフルHDへと解像度を向上

「HQV Resolution Enhancement」により、解像度の向上をさせつつ、画像の精細感を出すことで画像品質も向上させている

デモに用いられたのはYouTubeで流れているオバマ大統領の演説シーンで、解像度は320×240(画面右側がVidaで処理した画像)

デモに用いられていた評価ボード

メモリなども1チップにしているため、ほかのデバイスは不要だという

このほか、12ビットのDeep Color Processingを搭載しており、「HQV Six Axis Color Control」と組み合わせることで、「あらゆる色の色相、彩度、明度などを個別に調整することが可能となり、より色の正確なマッチングが可能になる」(同)とする。

9月8日にIDTの日本法人である日本IDTの社長に就任した島田源氏

なお、同社では、「民生分野での成功の鍵は日本にあり、さまざまなシステムベンダに対し、今回の2種類のデバイスおよび、すでに提供しているマルチディスプレイソリューションなどを含めて、積極的に提案していきたい」(同社日本法人である日本IDTの社長である島田源氏)と、今後、日本を重要な民生分野の地域と位置づけた取り組みを進めていくとしている。