シャープ10月1日、大阪府堺市の新工場において、液晶パネル生産施設の稼働を開始した。

「シャープグリーンフロント堺」全景。中央の大きな建物が液晶パネル工場

同工場は、第10世代と呼ばれる世界最大の液晶パネル工場と、最先端の薄膜太陽電池工場を併設し、2007年11月から建設を進めてきた。

敷地面積は、約127万平方メートルで、シャープのほかに、マザーガラス生産の米コーニングや、カラーフィルターの大日本印刷、凸版印刷なども同工場敷地内に生産拠点を置く「21世紀型コンビナート」を形成。また、液晶パネル生産で使用するガラス基板やシリコン薄膜などの部材が、薄膜太陽電池にも共有して使えることでの効率化も目指す。

同社では液晶パネル工場の稼働に続き、来年3月までに薄膜太陽電池工場を稼働させる予定だ。

また、今回の液晶パネル工場の稼動にあわせ、生産拠点の正式名称を「シャープグリーンフロント堺」とし、「シャープグリーンフロント堺から、省エネ性に優れた液晶パネルと、創エネの太陽電池パネルの2つの環境配慮型製品を世界に向けて供給。環境性能に優れた製品を、環境に配慮した工場で創出し、地球環境にやさしいグリーン社会の創造を目指す」とした。

10月1日から液晶パネル生産を稼働したシャープグリーンフロント堺

シャープグリーンフロント堺の外観

凸版印刷などの関連企業も進出している

液晶パネルと薄膜太陽電池の生産を行う拠点として稼働する

稼働した液晶パネル工場は、2,880mm×3,130mmの第10世代マザーガラスで生産する世界初の生産拠点。1枚のマザーガラスから65型で6枚、57型で8枚、42型で15枚、40型で18枚のパネルを切り出すことが可能で、大画面の液晶テレビ生産で効率化を発揮できる。稼動当初は月産3万6,000枚でスタート。フル稼働時には月産能力は7万2,000枚となる。

生産するパネルは、シャープが先頃発表した独自の光配向技術「UV2A(ユーブイツーエー、Ultraviolet induced multi-domain Vertical Alignment)」を採用した、高コントラスト/省エネ性に優れたパネルで、従来の技術に比べて大幅なコストダウンも図れるという。

堺で生産される第10世代マザーガラスを用いた液晶パネル(左は片山幹雄シャープ社長)

年末商戦向けの一部製品において、堺生産の液晶パネルが採用されることになるほか、液晶パネル生産工場の運営子会社に出資しているソニーや、提携関係にある東芝にもパネルを供給する。

一方、シャープグリーンフロント堺では、敷地内のすべての照明にLEDを採用。10万台規模のLED照明を活用することで省電力化を図るほか、全工場の屋根に太陽電池パネルを設置し、消費電力の一部を賄うなど、環境先進型生産拠点としての取り組みを進める。