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Googleは22日(米国時間)、Google Chrome Frameの早期バージョンを公開した。Google Chrome FrameはIE6、IE7、IE8で動作するプラグイン。コンテンツに次のメタタグを追加しておけば、自動的にレンダリングエンジンをWebKitベースのものへ変更してくれる。IEが実装していないCanvas機能やCSS 3の機能、HTML5の機能、高速なJavaScriptエンジンをIE6、IE7、IE8のまま活用できるようになる。

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Craig Buckler氏がSitePointにおいてGoogle Chrome Frame: the Technical Detailsのタイトルのもと、しばらくGoogle Chrome Frameを使ってみた感想や印象、簡単な技術を背景を説明している。紹介されている内容は次のとおり。

インストール

FlashプラグインやPDFビューアをインストールするのと同じ要領でインストールできる。全部で10MBくらいで、インストールは数分で完了し、ブラウザを再起動する必要もない。

技術背景

Google Chrome FrameはBHO (Browser Helper Object)としてインストールされる。BHOはツールバーを追加するなどほかのプラグインで使われている方法。ただしBHOはマルウェアやウィルスにも狙われているため、Google Chrome Frameでは対策が施されているIE6 / Windows XP SP2以降を最小限の条件としている。

IEとの統合性

ブックマーク、履歴、クッキー、パスワードなどIEのブラウザの機能はGoogle Chrome Frameからも使える。このためエンドユーザからは今どのレンダリングエンジンが使われているかを気にする必要がない。ただしほかのプラグインとの統合はうまくいっていない。IEにFlashプラグインをインストールしてあっても、Google Chrome Frameで使うにはもう一度Google Chrome Frame側でFlashプラグインをインストールする必要がある。

速度と安定性

Google Chrome Frameによるレンダリングは確かに速い。ただしまだベータ版であり問題はある。たとえばIE6とChromeでは問題のでなかったGmailだが、Google Chrome Frameではレンダリングに問題があった。

開発者向けティップ

コンテンツにメタタグを追加するか、または「cf:http://www.sitepoint.com/」のようにURLの最初に"cf:"をつけることでGoogle Chrome Frameが使われるようにできる。またGoogle Chrome Frameがレンダリングしている状態で右クリックしてポップアップメニューから"Inspect Element"を選択するとWebkit Developer Toolsを利用できる。

アクセサビリティ、プログレッシブエンハンスメント、Chromeスニッフィング

Google Chrome Frameは便利だが、これでIE6をサポートしなくてよくなるわけではない。相変わらず多くのユーザはGoogle Chrome Frameをインストールしない状態でIE6を使いつづけることになるだろう。Google Chrome FrameがインストールされていればUser Agentにchromeframeが表示されるようになるため、これを加味したエンハンスメントはサーバ側で実施できるようになる。

Google Chrome Frameを使うべきだろうか

Google Chrome Frameは開発段階にあり技術的な問題もある。このため、現段階では利用を推奨することはできない。しかしながら、将来には期待が持てる。ブラウザのアップグレードを実施するつもりがない企業やユーザにとっても、こうしたプラグインをインストールして使うのは簡単なことだ。

Net Applicationsの報告によればIE6は依然として第一シェアを占めている。Google Chrome FrameはIEを使い続ける必要があるユーザやビジネス環境において、IEを使い続けながらも最新のブラウザの機能を提供するプラグインとして期待できる。IE6やIE7をすべて置き換える選択肢にはなり得ないが、IE6やIE7のユーザのまま新しい機能を提供するための手段として役に立つ。