ETGAスウィングレッスンを共同開発した江連忠プロ。「10月16日から始まる富士通レディースで、上田桃子プロや諸見里しのぶプロが勝ったあかつきには、アプリ同梱端末を購入してほしい」と笑い混じりにコメント |
富士通は9月28日、携帯電話に搭載した各種センサーを利用してゴルフのスウィングをチェックできるアプリケーション「ETGAスウィングレッスン」を発表した。
ETGAスウィングレッスンは、富士通が開発した加速度/ジャイロセンサー内蔵携帯電話と、同社およびセンシング・コントロール・ラボが共同開発した運動パターン解析アルゴリズム「3Dモーションセンシングエンジン」を活用してスウィングをチェックするiアプリ。専用ケースに入れた携帯電話をベルト背面中央部に取り付けてスウィングするだけで、アドレス、バックスウィング、トップ、ダウンスウィング、フォロースルー、フィニッシュの6フェーズにおける「前傾角度」「腰のひねり」「左右移動量」「前後移動量」などが計測され、理論値や自身の過去のスウィングとの比較結果を確認できる。
アプリケーションは、片山晋呉選手や上田桃子選手、諸見里しのぶ選手のティーチングプロとして著名な江連忠氏と共同開発された。計測は、「ドライバー」「アイアン」「ショートアイアン」の3種類が用意されており、計測結果には、江連氏の理論に基づく診断結果やアドバイスがイラスト/画像とともに表示される。
スイングを終えてロックを解除すると、こんな画面が現れる。右下は総合得点とスイングのリズム。各フェーズの色は、緑色がOK、オレンジ色が修正点少数あり、赤色が修正点多数あり、ということを示している。各フェーズの丸印に指で触れると詳細画面に遷移する |
「トップ」の詳細画面。ここでは、前傾角度に問題があったことが示されている。各項目に触れると、診断結果に遷移 |
また、将来的には、ゴルフダイジェスト・オンラインと連携して「ゴルフスウィングチェックサイト(仮称)」を開設し、データのアップロードや、友人/同僚とのデータ共有、スウィングフォームコンテスト、詳細レッスンなどのサービスを提供していく予定だ。
センシング・コントロール・ラボ代表取締役の渡邊喜二郎氏。「100切りを目指すようなプレイヤーなら、これを使って練習すれば15打は縮まる」とコメント |
ETGAスウィングレッスンにおいて要の技術となっているのは、センシング・コントロール・ラボ代表取締役であり、法政大学工学部システム制御工学科教授でもある渡邊喜二郎氏らと共同で開発した「3Dモーションセンシングエンジン」だ。計測・制御の分野で研究を続けてきた渡邊氏は、今回の取り組みの難しかった点として、「機械の挙動計測であれば、計測機器の設置場所をミリメートル単位で正確に決めることができるが、人間の場合はそうもいかない」と説明。そのうえで、そうした状況でも正確な計測を行うために「絶対値を取るという考え方から、相対値を取るという考え方に変えた」と語り、全体の動きの中での変化量に目を向けることで、理想のスウィングや過去のスウィングとの比較が可能になったことを紹介した。
なお、富士通では、各種センサーを搭載した携帯電話を活用して、人間の嗜好や行動をインテリジェントに解析し、必要とする情報/サービスをタイムリーに提供する「ヒューマンセットリックケータイ」を提唱しており、今回のソリューションをその第一弾として位置づけている。2003年9月に発売した「らくらくホンIII」で加速度センサーを応用した歩数計機能を搭載するなど、携帯電話によるヒューマンセンシングについては早期から取り組んでおり、今後も3Dモーションセンシングエンジンなどを活用して同分野の研究/開発を進めていく考えだ。
なお、今回発表された携帯電話の発表時期については未定。価格についても、詳細は発表されていない。富士通では、10月6日~10日まで幕張メッセにて開催される「CEATEC JAPAN 2009」にて、ETGAスウィングレッスンを実際に装着して測定できる体験コーナーを用意する予定。