インターネットの時代にいかに生き残るのか──既存の紙ベースの媒体を抱える多くの新聞社や出版社にとって、オンラインビジネスにおける現状は非常に厳しいものになっている。比較的広告収入が見込めた好況時ならいざ知らず、少なくとも今後数年は大きな収益回復が見込めない状態においては、News Corp.を率いるRupert Murdoch氏が「質の高いジャーナリズムには対価を」と傘下の全媒体の有料化を示唆したように、コンテンツの無料公開から課金へと動くのがひとつの方策かもしれない。
だが有料化は諸刃の剣だ。新たな収益が見込める一方で、有料化を嫌うユーザーが離れることでページビューが減り、それが広告収入の大幅減少につながる。広告収入を増やすために、無料化を選択するという考えもあるのだ。このバランスが非常に難しい。有料化を難しくしているもうひとつの理由が支払い方法の煩雑さだ。有料購読にあたってはユーザー登録を行い、オンラインでの支払いを選択することになるが、ユーザーが異なるサイトごとに登録し、支払い管理を行うのは面倒だ。また事業者側も個人情報管理や課金システムを別途構築しなければならず、こうしたシステム構築費用や管理負担は中小の新聞社や出版社にとっては大きな重石となる。
そこで登場するのが「マイクロペイメント(Micropayment)」と呼ばれる少額課金サービスだ。一度に比較的大規模な金額が動く電子商取引(EC)サイトとは異なり、新聞や雑誌記事の個々のコンテンツの値段は100円や数百円程度のもので、大きいものでも数千円程度だ。こうした少量の金を多くのユーザーから集め、コンテンツ事業者に収入として渡す代行業務を行うのがサービス事業者の役割となる。
全米新聞協会(Newspaper Association of America: NAA)の公開した資料(PDF)によれば、米Googleがこうしたマイクロペイメントによるオンライン新聞の料金徴収代行を行う業務を、NAAを通して新聞各社に提案しているという。課金システムには同社のGoogle Checkoutを用い、シングルサインオン機能で各サイトのコンテンツへのアクセスを管理するというものだ。
Google Checkout自体は3年前に発表されているものの、連携したサービスの数が多くないこともあり、現在のところはそれほど利用が広まっていない。YouTubeのビデオダウンロードサービスなど、Google傘下のサービスを中心に利用を広めていこうという動きはあるが、登録ユーザー数の多いAmazon.comなどの同種のサービスと比較して、今後ブレイクするかは未知数だといえる。新聞・出版社の未来、そしてオンラインビジネスで衝突することも多いGoogleが、これら事業者との提携を足掛かりに自らのサービス活用の場を広げられるか、今後の展開が気になる動きだ。
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