内閣府のワークライフバランス推進ロゴマーク。「働き方」を変えるのはなかなか難しいようだ

2007年12月に「仕事と生活の調和(ワークライフバランス)憲章」および「行動指針」を策定し、ワークライフバランス社会の実現を目指して政府が本腰を入れ始め、"ワークライフバランス元年"となった2008年度。その取り組み状況や実績、効果をまとめた内閣府の「仕事と生活の調和(ワークライフバランス)レポート2009」がこのほど公表された。

政府は前述の憲章/行動指針において、ワークライフバランス実現のために2017年度までに達成すべき数値目標を策定している。今回の報告書によると、全14項目のうち改善した指標は10項目、悪化した指標が1項目、現状維持のものは3項目となった。

具体的には、週労働時間60時間以上の雇用者の割合が2006年度の10.8%から10%へ微減。政府が目標値と定める2016年度に5.4%を達成するには、依然半減する必要がある。また、週労働時間が49時間以上の割合を国際比較した場合、日本は28.5%にものぼり、米国の17.3%、イギリスの24.9%、フランスの8.6%など主要欧米先進国に比べると、依然として高い水準にあるといえるほか、年次有給休暇取得率は47.7%にとどまり、2012年度の目標数値60%にはまだほど遠い現状だ。

一方、少子化対策の取り組みでは、女性の育児休暇取得率は89.7%となり、2年前の約7割から大幅に上昇。2012年度に8割を目指した政府の目標値を早くもクリアした。これに対し、男性の育児休暇取得率は、2005年度の0.5%から2007年度に1.56%に上昇。一定の改善は見られるものの、依然水準は低く、2012年度に5%、2017年度に10%の目標達成には課題が残る状況だ。また、女性の育児休暇取得は定着したものの、第1子出産前後の妻の就業経歴を見た場合、2000年から2004年に出産した人の出産退職者は41.3%にものぼり、育休利用者の就業継続率はわずか13.8%と、女性の就業継続に出産/育児が大きな障害となっている状況が伺える。

こうした現状に対して、政府は今後法改正を実施する意向だ。2010年4月には「改正労働基準法」が施行され、時間外労働の割増賃金率が引上げられるほか、仕事と家庭の両立を支援するための雇用環境の整備等について記載した一般事業主行動計画の策定/届出の義務が、労働者数101人以上の中小企業事業主にも拡大。2010年7月までに、子育て期間中の短時間勤務制度、所定外労働免除が義務化され(常時100人以下の労働者を雇用する事業主については2012年7月までに)、父母ともに育児休業を取得する場合の休業可能期間の延長を認める「パパ・ママ育休プラス」 を導入するなど、多くの労働制度が見直される。