NEC 取締役執行役員常務 小野隆男氏

NECは、2009年度第1四半期の連結決算を発表した。それによれば、景気悪化によりすべてのセグメントで減収となり、売上高が前期比で2200億円あまり減少し、7785億円となったほか、純損益も338億円の赤字となっている。

ただ、説明にあたったNEC 取締役執行役員常務の小野隆男氏は「期初の予想に対してはすべてセグメントで上回っており、会社計画を上回り進捗している。通期業績予想達成に向け、順調なスタートが切れた」と述べた。

具体的には、売上高で500億円、営業損益で200億円ほど予想を上回っているという。とくに、ITサービスと携帯電話が貢献しているという。

だたし、期初に発表した売上高3兆7300億円、営業利益1000億円、純利益100億円という通期の予想業績は変更せず、据え置いた。

2009年度 第1四半期決算概要

2008年度 2009年度 前年同期比
売上高 1兆12億円 7,785億円 △22.3%
営業損益 41億円 △400億円
経常損益 71億円 △450億円
四半期純損益 5億円 △338億円

セグメント別では、ITサービス事業のSIサービスでは、官公庁向けや流通業向けは堅調に推移したが、全般的な投資抑制の影響を受け、売上高が前期比7.6%減の1697億円となったものの、固定費削減などにより営業損益は、前期比で30億円改善し、1億円の赤字となった。

ITプロダクト事業では、メインフレーム関連の落ち込みにより売上高が前期比で37.5%減少し、391億円となったほか、営業損益も前期比で235億円減少し、110億円の赤字となった。

ネットワークシステム事業では、NGN関連の売上げは堅調だったものの、企業ネットワークにおいて投資削減の影響を受けるなどして、売上高は前期比20%減の1750億円、営業損益は35億円の赤字となった。

社会インフラは、航空宇宙・防衛分野が堅調だったものの、放送分野の設備投資抑制により売上高は前期比で4.3%減少したものの、コスト削減効果で営業利益は前期で20億円改善した。

セグメント別損益

2008年度 2009年度 前年同期比
ITサービス △31億円 △1億円 30億円
ITプロダクト 125億円 △110億円 △235億円
ネットワークシステム 5億円 △35億円 △40億円
社会インフラ △24億円 △4億円 20億円
パーソナルソリューション 59億円 87億円 28億円
エレクトロンデバイス △17億円 △276億円 △260億円

営業損益で唯一黒字になったのが、PCや携帯のパーソナルソリューション事業で、売上高は前期比で17.1%減少し1950億円となったものの、開発の効率化や減価低減により営業利益は前期比で28億円増の87億円を確保した。

売上高実績増減

携帯電話とPCの2009年度の出荷台数については、当初の予想通り携帯電話は500万台(前期比10万台減)、PCは250万台(前期と同数)を確保できる見込みだという。

携帯電話/PCの出荷台数の推移

年間で2700億円を削減する予定の固定費については、第1四半期で735億円を削減し、進捗率27%となり順調に削減できているという。

固定費削減の進捗

純損益を2008年度の2966億円の赤字から2009年度は100億円の黒字に改善させる見込みについて小野常務は「(特に経済状況が回復しなくても)現在のまま推移すれば達成できる」とした。

上期/通期の業績予想