KDDIは23日、2010年3月期の第一四半期(4-6月)決算を発表した。売上高にあたる営業収益は前年同期比1.9%減の8,537億2,900万円と減収だったが、営業利益は同14.0%増の1,418億2,600万円の増益だった。同社の小野寺正社長兼会長は「一部を除きおおむね堅調に推移している」と述べた。

売上高にあたる営業収益は前年同期比1.9%減の8,537億2,900万円と減収だったが、営業利益は同14.0%増の1,418億2,600万円の増益だった

営業増益には、携帯電話端末の販売台数減少に伴い、販売代理店に支払う販売手数料が前年同期比で390億円減少したことなどが貢献した。純利益は、前年同期比19.3%増の864億1,700万円だった。

事業別の業績では、移動通信事業の営業収益(売上高)が前年同期比2.4%減の6,631億8,100万円、営業利益は同9.6%増の1,524億4,400万円だった。端末販売台数は、前年同期比23%減の221万台だった。2009年6月末のau携帯電話の契約数は3,100万件で、累計シェアは28.6%。端末在庫数は113万台で、「需要に応じた端末発注により2009年3月末に比べ大幅な減少となり、適正な在庫水準となった」(小野寺社長)。

固定通信事業では、営業収益(売上高)が前年同期比でほぼ横ばいの2,071億6,700万円、営業損失は前年同期比で41億5,800万円縮小し107億1,700万円だった。

小野寺社長は記者会見で、現在の状況について、「景気回復の動きが見られるが依然厳しい状況で、端末販売台数も減少しており必ずしもいい方向ではない」としながらも、第一四半期の業績については、「一部を除きおおむね堅調に推移している」と述べた。

KDDIの小野寺正社長兼会長

業績で堅調ではなかった点については、データカードとMVNOの事業を挙げたが、MVNOについては「これから伸びる分野であり、きちんと利益が出るような仕組みをつくって、MVNO事業者と共存共栄ができるような関係を築いていきたい」と意欲を示した。

携帯電話端末の2009年夏モデルと今後のスマートフォンへの対応に関しては、「夏モデルはそれなりに評価されていると思う。Android携帯などの開発も進めているが、品質のいいものをきちっと出したいと考えており、(発売は)来年以降になる」と述べた。

また、LTEなどへの投資投資については、「設備投資を進める一番の理由はスピードだと思えわれるかもしれないが、そうではなく、ビット当たりの単価を引き下げることによりコストを下げて需要増に対応することにある。今後設備への意欲が落ちることはない」と強調した。

固定通信事業に関しては、「NTTの今のNGNの仕組みは、クローズド(閉鎖的)にしたことが大問題。移動通信事業と固定通信事業が違うものだと考えられるかもしれないがそうではない。移動通信事業ではせっかくここまで競争が進んできたのに、(NGNが閉鎖的なネットワークであることによって)ここで競争がなくなったらどうなるのか。非常に怖いことになりかねない」と、NGNの仕組みを批判した。

衆議院議員選挙後の政権の通信政策についても、「今年はNTT再編から10年になるが、これまでの情報通信政策をどういう効果をもたらしたかについて、まずはチェックをきちんとやるべき」と訴えた。