ゼットエムピー(ZMP)は7月22日、自社ロボット「e-nuvoシリーズ」を用いたロボット技術教育の現状に関するフォーラム「第1回 実践! ロボット教育・研究フォーラム」を開催した。
講師として登壇したのは、主に大学の授業でe-nuvoシリーズを活用している大学関係者で、世界初の人間型ロボット「WABOT」などの研究・開発にも従事し、モータ制御学習キット「e-nuvo BASIC」のカリキュラム教本の総監修も担当した芝浦工業大学 工学部 電気工学科 水川真教授をはじめとして、車輪型ロボット教材「e-nuvo WHEEL」のカリキュラムを監修した慶應義塾大学 理工学部 物理情報工学科 足立修一教授ら10人。
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ZMP代表取締役社長の谷口恒氏 |
最初に登壇したZMPの代表取締役社長である谷口恒氏は、「学校向けロボット教材として販売を開始して約8年間経ったが、この間約300校に1,500台が納入された」とし、背景に「モノがなかなか売れなくなった現在、ロボット技術へのニーズが高まっており、ロボット技術のノウハウの獲得が求められている」(同)と分析する。
また、企業サイドとしても、ロボット技術をメカトロニクスの延長線上として捉えるようになってきており、そうした分野の知見を持つエンジニアに対する要求が高まってきていることもあるとしており、「ロボット技術を理解しているエンジニアの育成を図るということは、つまりハードウェア、ソフトウェア、そしてシステムとして全体を横断的に理解することができる人材を育てるということであり、そうしたエンジニアは企業としても、さまざまな分野で活躍できることから、期待が高まっている」(同)とし、今後もこうした教育・研究現場におけるロボットの活用を広く公開していきたいとした。
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ユニファイ・リサーチの代表取締役社長で東京大学 産学連携本部 共同研究員である五内川拡史氏 |
同フォーラムでは、各大学でのロボットを活用した教育内容の話のほか、ユニファイ・リサーチの代表取締役社長で東京大学 産学連携本部 共同研究員である五内川拡史氏が全体俯瞰として、「ロボット教育の可能性」と題した講演を行った。
ロボットを理解している人材の育成という要望は、数年ほど前から高まってきたという。特に産業界からとしては、大手ロボットメーカー側からは、「中量中品種の製品生産向けが多く、かつ知能化が進んでいる」(同)との
見かたが出ており、大企業などではそれに対応した活用ができているが、中小企業では「製造プロセスのイメージ化の不足やロボットの維持・運用のための能力、加工などの正確な条件出し、ティーチング能力の不足」(同)といった部分が不足しているとした。
また、ロボットを導入する中堅中小企業側としては、限られた予算でのロボット導入のため、「オーバースペックの見極めや多品種少量生産に対応するために導入を図りたい」(同)という思惑が働いており、これらをまとめると、「ロボットを理解することによる生産システムの発案能力・統合能力・運用技能、ならびに"知能化"といった新たなロボット技術の習得が産業界の現場で望まれる技術・技能となっている」(同)と指摘する。
ただし、こうした技術・技能や思考力の習得は簡単にできないため、「人間とロボットが互いに教示・学習をしていく必要がある」(同)とする。人間がロボットに、求める動きを教えるということが基本となるが、「現在、人間の動きを模した教育のほか、脳の働きをシミュレーション化して活用しようといった話なども出てきている」(同)とするほか、人が人に技術を教える際にロボットを訓練に用いるという使われ方が実践分野として市場形成が進んできており、ZMPのe-nuvoシリーズもこの分野の拡大に寄与しているという。
また、ロボットが人に何かを伝えることが可能になりつつあるという。例えば、メディアやエージェントとして情報を伝えてくるロボットが考えられるほか、「SFの世界の話になるが、ロボットが人間を教育する時代がくるかもしれない」(同)とし、50年後には本当にそうした世の中が訪れる可能性があるとした。
さらにロボットの知能化が進むことにより、ロボット同士がつながり、互いに情報交換を行うことで群制御が可能となると、ロボットがロボットを管理することができるようになることから、「群ロボット制御によるロボット活用ニーズも高まってきている」(同)とするほか、「そうなるとロボットが人間の手足など、身体の一部になる可能性も出てくるはずで、そうした意味ではロボットの適用シーンは確実に広がっていく」(同)と述べた。
上で述べたようにさまざまなシーンでロボットを活用していくためには、"教育"が必要というところに行き着くが、ロボットには「ソフトウェア」、「センサ」、「半導体」、「メカトロニクス」、「材料/動力」といった各種要素技術を横断的に理解することが求められるほか、現場におけるデザイン能力、統合的な設計技術、生産/運用技術といったものも求められ、それを統合していく必要があるという。
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要素技術の横断的理解と、現場における技術や技能の深堀の組み合わせに、さらに諸科学の知見が入ってくることで、ロボットのさらなる高度化につながり、結果的に高度な技術と技能を持つ人材の育成につながることとなる |
加えて「数学や理学、心理学、哲学などのさまざまな諸科学の知見を"機械知"として置き換え、ロボットに搭載していくことで、逆に機械知が諸科学へとフィードバックされるようになる」(同)とし、将来にわたってロボット教育を行っていくことが、技術と技能の高度化に対応できる人材育成に結びつき、ひいてはそれが、より高度に知能化されたロボットへの進化が促進されることとなるとした。
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