Appleから製造委託を受けている台湾企業で働く中国人の青年が、現在開発中のiPhone次世代モデルのプロトタイプの1つを紛失したことを苦に自殺したことを、ND DailyやSouthCN.comなど複数の中国系メディアが21日(現地時間)に報じている。Appleは機密情報流出に厳しいことで知られており、製造委託を受ける台湾Foxconn関係者らはこうした行為に非常に神経質になっていたといわれ、今回の件も関係者らによる厳しい尋問が青年を自殺に駆り立てたのではないかという話が出ている。
現地紙の報道によれば、Foxconnの中国工場で働く25歳の孫丹勇(Sun Danyong、現地語表記は孫の"つくり"が"小")氏は16日深夜に自身の住むアパートの12階から飛び降り自殺を図ったという。この青年は大学卒業後にFoxconnに入社、同社ではiPhoneの開発に携わっていたようだ。FoxconnはPC関連製品の委託製造では最大手で、最近ではApple製品の多くを受託開発していることで知られる。ここで16台あった第4世代のiPhoneプロトタイプのうち1台が紛失してしまったことで、運搬を担当していた孫氏に疑いの目が向けられてしまう。その重責に耐えられずに同氏が自殺してしまったのではないかと当初は考えられていた。
ところが19日になり、孫氏の大学時代の友人という人物らが現れ、同氏の死の直前にFoxconn関係者らによる厳しい取り調べが行われていたことをメールで教えられたという証言が出てきた。それによれば、同社のセキュリティ部門の担当チーフらが孫氏を拘束し、自宅の強制捜査、軟禁、暴行による尋問など、厳しい調査を繰り返していたという。こうした脅迫行為が自殺の直接の引き金になったと判断され、再調査が行われることになった。21日になりFoxconnからも正式な声明が出され、事件の存在を認めつつ、孫氏や関係者への謝罪を行った。また強引な捜査が上層部による監督不行届であるとも付け加えている。
Wall Street Journalのブログ記事のまとめにもあるように、Appleの情報流出に関する金銭面での厳しいペナルティは、Foxconnを含む製造受託企業にとっては非常に大きなプレッシャーになっている。金銭面だけでなく、今後の契約更新や信頼面への影響もあるため、受託企業自ら厳しい管理体制を敷く傾向があるようだ。これが場合によっては従業員への直接的な攻撃に移るケースもあり、最悪の場合、今回のように当事者の自殺という事態にエスカレートしてしまう。仕方ない面もあるとはいえ、製品の一利用者としてはやりきれない思いだ。
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