レキシコム総合研究所は7月21日、7月1日に公表した内部統制報告書の分析結果に引き続き、第2弾として、内部統制報告書の記載項目ごとに、外部監査における監査意見との関係も含めて詳細に分析した結果を発表した。

今回、6月30日までに内部統制報告書を提出した2,670の企業について調査・分析が行われた。同日までに内部統制報告書を提出できなかった企業は3社存在している。

同調査では、まず、決算・財務報告プロセスの全体的な観点で評価する部分にも影響を及ぼすとして、全社的な内部統制の評価の対象となる事業拠点の選定について分析している。選定方法については、89.8%に当たる2,397社が「財務報告に対する影響の重要性が僅少である事業拠点を除くすべて」と表記していた。対象とした連結子会社の数や持分法適用会社の数を具体的に記載している企業も1,557社あった。

また、重要な事業拠点を選定する指標について、いつのどの基準を用いるか明確に定められていないため、各社の判断にゆだねられている。ただし、金融庁が公表している「「内部統制報告制度に関するQ&A」の問104では、「業務プロセスに係る内部統制の評価範囲については、各事業拠点の前連結会計年度の売上高(連結会社間取引消去後)の金額が高い拠点から合算していき」と記載されていることから、前期末の指標を基礎として重要な事業拠点を選定したと開示した企業が、1,415社(50%)と最も多かった。

重要な事業拠点の選定指標として用いた数値の時期 *資料 レキシコム総合研究所

加えて、連結グループにおける内部統制の評価を求められていることから、主要な業務プロセスを決定する際に連結上の金額をどのように扱ったということも企業の判断に依存する。売上高で判断すると表明している2,276社のうち、連結会社間取引の考慮の有無を分析すると、連結会社間取引消去後の数値を用いているとしている企業が1,352社(59.4%)と最も大きな割合を占めている。

一方、内部統制の評価結果について、「有効である」と表明しなかった企業は65社だった。その内訳は、「重要な欠陥が」存在するとした企業が56社、評価を実施できずに意見負表明とした企業が9社。

重要な欠陥が発生したプロセスは、決算・財務プロセスが最も多く42件(61.8%)だった。重要な欠陥と判断した根拠は、「会計の処理の修正」が必要となって修正したことを理由とするものが最も多く、22件(32.4%)だった。次いで、外部監査人の監査で指摘されて「会計処理の修正」を行ったことに起因して「重要な欠陥」を識別した企業が14件(20.6%)となっている。

「重要な欠陥」の原因 *資料 レキシコム総合研究所

「重要な欠陥」の原因は、「検討・承認手続きの不備」が31件(41.9%)とトップ。同調査では、取引や会計仕訳の計上に際し、十分な検討や承認手続きが実施されないまま処理が実行された結果、会計処理を修正するに至ったケースが多いのではないかと分析している。

「重要な欠陥」への対応策としては、「人員補充」や「社内教育充実」といった人事に関するものが目立っている。ただし、社内での対応が困難な企業では、「外部専門家の活用」を行うケースも多いようだ。