「Fly me to the Moon in AKIBA」が開催 - 「かぐや」の見た月の世界を見る

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「Fly me to the Moon in AKIBA」が開催 - 「かぐや」の見た月の世界を見る

  [2009/07/18]

7月18日と19日の2日間、東京秋葉原にて千代田区などが実施する、地域活性化事業「アキバグリーンフェスティバル2009」(7月18日~8月23日)との共催として、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の月探査などの成果について紹介を行うパブリックイベント「Fly me to the Moon in AKIBA ~月を知り、地球を知るイベント。「かぐや」と今後の月探査~」が実施されている。

「Fly me to the Moon in AKIBA」の開催内容

「かぐや」再び!? - 次世代SELENE計画が公開

開催場所はUDXギャラリーならびに7月10日にオープンしたばかりのベルサール秋葉原。UDX4FのUDXギャラリーの方では、船外ユニット(EMU)のほか、SSPS(宇宙太陽光発電)に関するデモ、「かぐや」のメインエンジン「N500」ならびに"かぐや"を月に制御落下させたエンジン「2ONスラスタ」、"かぐや"の1/10スケールモデルなどが展示されている。

船外活動用の宇宙服(EMU)

今回の主役「かぐや」の1/10スケールモデル

また、3次元で月の風景を見ることができる施設「3D MOON」や、ウルトラマンコスモスと月面で記念撮影できる、といったイベントも開催されているほか、 "かぐや"打ち上げに合わせて開催され、実際に月に届けられたキャンペーン「月に願いを」で用いられたネームシートの試作品なども展示されている。

「月に願いを」で用いられたネームシートの試作品

さらに、月探査で得られた情報も公開されており、"かぐや"が得たデータを元に作成された月球儀、月の3次元ナビゲーションのデモ、次世代SELENEミッションの計画のロードマップなども展示されており、2015年ころを目安としている次世代SELENE「SELENE-2」では、月面ローバを用い、月の表面の探査を実施、その後の月面における無人探査拠点、有人探査拠点の設置に向けた足場固め向けた情報の収集を行うという。

「かぐや」のデータを元に作られた月球儀

「SELENE-2」プロジェクトの中核を担う月面探査用ローバのモデル

「かぐや」は何を地球に伝えたのか

JAXAのかぐやプロジェクトマネージャである佐々木進氏

一方のベルサール秋葉原では、さまざまな記念講演が行われている。18日は、「月探査プログラム特別講演」と題し、"かぐや"の打ち上げ経緯からその成果、そして将来に向けた活動についての報告が行われた。

JAXAのかぐやプロジェクトマネージャである佐々木進氏は、「"かぐや"は1995年から計画がスタートした非常に長い計画」と振り返った。全体で14台の観測機器を搭載した"かぐや"は、2009年6月11日に月に制御落下を行い、その使命を終えたが、「結果として、月の起源と進化の解明に向けたデータの多くを集められた」(同)と、その成果を語った。

「かぐや」打ち上げの4つの目的

JAXAのSELENEサイエンスマネージャである加藤學氏

では、どのような成果を得たのか、同SELENEサイエンスマネージャ加藤學氏の説明によると、「ほとんどの機器が完全に動作した結果、膨大なデータが集まった。そのため、まだまだ形にできていないデータも多く残されている」(加藤氏)とするほどであるという。

具体的な例を挙げると、月にある石の種類のほか、レーザ高度計によるクレータの高低差の確認などにより、月の表と裏の重力場の形成の仕方が違うことや、大きなクレータの場合に窪みの中央部にできる「中央丘」の形成メカニズムの推測、これまで進んでいなかった極部分の解明などが果たせたという。

各種の調査結果により、さまざまな事実が確認された

「JAXAが中間テーマとして掲げている6つテーマの内4つは"かぐや"のデータで判明できそう」(同)とはしながらも「残り2つのテーマは、月の全体像が判明しないと難しい」(同)とし、今後の課題であるとした。なお、同氏は最後に「2025年ころに日本人を月に立たせる計画である。今、中学生くらいの人はその宇宙飛行士に選ばれるチャンスがある。宇宙飛行士への夢を持つ人はぜひ挑戦してもらいたい」と将来の宇宙飛行士に向けたメッセージを送った。

「かぐや」における調査テーマ(黄色い部分が実際の調査内容で、オレンジ部分がそれらを複合的に合わせることで分かる"中間テーマ")

JAXA月・惑星探査プログラムグループの橋本樹明氏

このほか、次世代のJAXAの月探査プロジェクトの概要も説明された。JAXAの月・惑星探査プログラムグループの橋本樹明氏は、なぜ月に行くのかについて、「アポロ計画で人類が月に行ったものの、それは月の極一部に過ぎず、そこ以外は分かっていない。また、月を調べるだけではなく、地球の過去につながる調査や隕石の衝突経緯の解明、月の裏側での天文台建設による地球からのノイズの影響からの脱却、火星などの惑星探査に向けた基地作りなど」の役割もあるとする。

その先駆けとして、JAXAでは先述もしたが、"SELENE-2"の開発を検討している。「調査のためには安全確実にピンポイントで着陸する技術、しかも障害物を避けて、中央丘といった狭い場所にも降りられる技術が必要」(橋本氏)であり、そのためには自分がどこにいるかの認識技術が必要となるが、それについては「ハヤブサ」でのベースがあり、それを活用し"SELENE-2"では自己判断で位置認識ができるようにするとした。

JAXAの月探査計画のロードマップ

このほか、探査ローバとその自律思考技術の開発や約2週間におよぶ月の夜をどう乗り越えるかなどの問題があるが、「それぞれについての解決策としての案はいくつも出ており、2015年に1tクラスの探査機を月に送ることができるはず」(同)と自信を覗かせる。

JAXA月・惑星探査プログラムグループの佐藤直樹氏

2015年より先について、同プログラムグループの佐藤直樹氏は、「2020年ころには有人探査に行けるようになるかもしれない」とする。人類が未踏地に行こうとするのは本能であり、宇宙も例外ではないという。また、「日本人が月に行くことで、国民すべてに自信と誇りを届けることができる」(同)こととなるほか、他国が有人探査を計画する中、日本だけやらないとあっては、宇宙開発で遅れをとることとなるという事情もあるという。

問題は宇宙へ行って帰ってくる方法である。それ以外、宇宙での滞在方法や衛星などの運用管理ノウハウは蓄積されつつある。が、人間を乗せて宇宙と地上との行き帰りは日本ではまだ未知の段階である。しかし、「H-IIBの改良(エンジンの高信頼化+緊急脱出装置の付与)による有人化とHTVの改良による有人カプセルの追加により、輸送が可能になる」と指摘する。

日本の有人技術の現状(打ち上げと帰還に関するノウハウが弱い)

H-IIBやHTVの改良で有人ロケットを実現(ただし、月までは軌道間輸送機などを用意する必要があるという)

しかし、そういったことや、月に行った後の活動に向けた取り組みも、「時間もコストもかかるのが事実。その結果、1国でやろうとは考えていない」(同)という。現在、国際宇宙探査協働グループ(ISECG)という活動が、ほとんどの世界の宇宙機関が参加して行われているという。同グループでゃ、どこに基地を作るか、どうやって月まで行くかなどが話し合われており、「1~2年程度で世界規模で月探査をどうするかがまとまるはず」(同)とした。

ISECGを構成する各国の宇宙機関

なお、19日はこうした講演のほか、「かぐや、さよならコンサート」と題したコンサートなどの開催も予定されていることから、興味を持った人は行ってみると良いだろう。

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