三菱と京大、セル生産方式に対応するロボットの知能化技術を開発

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三菱と京大、セル生産方式に対応するロボットの知能化技術を開発

  [2009/07/15]

三菱電機と京都大学は7月15日、生産機種切り替えの迅速化と長時間連続操業が可能となる次世代セル生産向けロボット知能化技術を開発したことを発表した。

実証用システムの外観

三菱電機 上席常務執行役 開発本部長 久間和生氏

同技術は、三菱が推進する全社開発戦略「VI/AD戦略」に基づくもので、「今回の発表は、新たなVIを生み出していくもの」(三菱電機 上席常務執行役 開発本部長 久間和生氏)という。ちなみに"VI"は、同社の5つの事業の中で強い部門を徹底的に強化していく戦略を示しており、一方の"AD"はその強い事業をソリューションとして提供していくというもの。

久間氏は、同技術に対し、「セル生産そのものが魅力的な分野であるほか、ロボットにはさまざまな技術を組み込んでおり、そうした技術を活用して横展開を図っていく」とする。

三菱電機の全社開発戦略「VI/AD戦略」

"人からロボットへ"の課題

京都大学 大学院工学研究科 機械理工学専攻 教授の椹木哲夫氏

作業手順や部品の変更が少ないライン生産に比べ、セル生産方式は、少量多品種の製品の生産がメインであり、生産される商品の変更なども多々行われることから多種多様な部品の取り扱いや、部品を整列させた専用パレットなどの使用など、工程が複雑となることからロボットでは対応が難しいといわれてきた。

同技術開発に携わった京都大学 大学院工学研究科 機械理工学専攻 教授の椹木哲夫氏は、「人セル」方式の特長として、人間が改善を進めることで「作業と人との相互依存性」が生み出され、それにより作業効率の向上や歩留まりの向上が生み出されることを指摘する。これを「ロボットセル」方式に置き換えるためには、複雑化する教示作業の効率化とロボットが止まってしまった時の対応が重要と指摘する。そして最終的には「自ら考えて習熟でき、人が育てることができ、かつ将来的には人を育てることができるロボットを目指す」(同)とする。

「人セル」から「ロボットセル」への切り替えで発生する課題と将来目標

ロボットセル実現のための課題

三菱電機 先端技術総合研究所の副所長である田中健一氏

では何故、三菱はロボットセルの開発を進めるのか。大前提として存在するのが、熟練工の退職と就業人口の減少。三菱電機 先端技術総合研究所の副所長である田中健一氏は、「今後、日本では労働人口が減少する。それを補うためにはロボットで代替する必要があり、そのためには要素技術をプラットフォーム化することで、あらゆる分野に通じるロボット技術の構築を目指す」ことが必要であると指摘する。

"人セル"から"ロボットセル"へ置き換える際には、大きく分けて2つの課題が存在するという。1つ目は生産機種の切り替え時間の短縮、いわゆる段取り換えと呼ばれるもので、部品などの切り替え時間の短縮とライン変更の短縮が含まれる。こうしたことを実現するために「整列パレットや部品供給装置の排除による部品のバラ置き」や、「ロボット教示作業の効率化」「初期教示後の動作速度向上」を行ったという。

もう1つの課題は「長時間無人運転の実現」であり、エラーの回避とエラーのリカバリがこれに相当する。これらの課題を解決するために「ロボットを知能化する技術を取り入れる必要だった」(同)という。

ロボット技術にはさまざまな要素技術が必要となる

具体的には、"部品のバラ置き"のために、独自の3次元ビジョンセンサを開発。2次元と3次元の認識により立体的な部品の位置確認が可能となり、バラ置き供給が可能となったほか、位置姿勢を認識できるようになり、さまざまな部品への対応が可能となった。同カメラとセンサの性能は距離300mm、視野200×200mmにおいて、認識処理時間1秒以内、計測分解能0.3mm以下を達成しているという。

"部品のバラ置き"のために独自の3次元ビジョンセンサを開発

また、ロボット教示作業の効率化のために、「今まで、ティーチングボックスを用いて人が1回1回の作業ポイントを教え込んでいたが、今回は手先のセンサにより圧力を感知し、位置決めの補助とすることで、力加減などを含めて的確な作業ができるようになった」(同)としており、目視による確認が困難な挿入作業の場合で、調整時間は従来1時間かかっていたのが3分に短縮され、挿入誤差も1/12に削減されたという。

ロボット教示作業の効率化のためにヒューマンマシンインタフェースを開発

さらに、初期教示後の動作速度の向上については、独自の学習理論を採用。これにより、作業時間が短くなるように、軌道上の経由点を変化させる自律的動作習熟が可能となり、障害物を避けて最適なコースを選んで物を移動させる動作習熟実験では、作業時間は最大44%の短縮が図られたという。「熟練者が教えれば、いきなり最適点を見つけ出して教えることができただろうが、そうした技術者がいない場合でも、最適な経由点などを見つけ出すことが可能となった」(同)とする。

自律的動作習熟により動作速度の向上が可能に

このほか、長時間の無人運転に向けた2つの取り組みはというと、「エラー回避」については、作業ごとにエラー頻度を解析し、エラー発生率が最少となる作業順序を見つけ出すことで、実現した。一方の「エラーリカバリ」については、センサ情報を活用し、ものをきちんと掴めているかどうかをチェック、できなかったら元の状態に戻して、もう一度挑戦するというようにした。「特に、物を掴むというのは基本動作であり、しかも頻度が高いが、この実験でもんだいないことが示された」(同)という。

エラー回避とエラーリカバリの実行により、長時間の無人運転を実現

なお、今回開発された技術は、汎用技術でありどのような分野にも適用可能としており、まずは三菱の複数の工場での検証を続け、2012年度頃をめどに商用化、社内外への販売を開始する予定。その際は、マシンビジョンとアルゴリズム関連をセットに、ロボットハンドのオプションとして提供する可能性が高いとしており、さまざまな分野への応用展開を目指すという。

実証用システムにおける各工程と、搭載技術の関係(システムのサイズは3m×3m程度の面積とのこと)

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