4日と5日の2日間、エコでオーガニックな商品を扱う生産者や輸入者、販売店、企業、団体がパシフィコ横浜に集結して第一回「グリーンEXPO ~エコとオーガニックが大集合~」が開催された。主催するグリーンEXPO実行委員会には、ロハスビジネスアライアンス、オーガニック協会、日本オーガニックコットン協会、カーボンオフセット協会、サステナ、LOHAS-WORLDの代表や理事が名を連ねる。

「グリーンEXPO ~エコとオーガニックが大集合~」の会場風景

会場はいくつかのゾーンに分けられ、総出展者は200を数える。99と最多のブースを擁す"食とおいしい暮らしゾーン"では、オーガニックや無農薬の食材、伝統的な製法で作られた調味料などを紹介。昨年まで5回にわたり催されていた「オーガニックフェスタ」は、今回グリーンEXPO会場内での開催となった。

気に入った食材や調味料を購入できる"食とおいしい暮らしゾーン"。試食ができるブースも多数出展

また"グリーンリビングゾーン"では、自然素材を使ったエコリフォーム、家造りや省エネ家電を展示。そのほか、オーガニックコットンやエコ素材から作られたファッションを紹介する"グリーンファッションゾーン"、ナチュラルコスメやアロマテラピーなどのブランドが集まる"グリーンビューティーゾーン"などが展開された。さらに、トークイベントやパネルディスカッション、講演会、セミナー、ライブと盛り沢山。併設会場では、フリーマーケットも行われていた。

生産者や販売者、流通者と直接話しができるのが魅力

直接見たり触ったりして商品を知ることができる同イベントで、気になった製品や取り組みをいくつか紹介したい。

竹繊維は優れた機能性を持つエコ素材

ナファ生活研究所は、原料に竹を100%使用したレーヨン「TAKEFU(竹布)」を紹介していた。竹の持つ繊維構造により優れた吸水性と放湿性を持ち、衣料品やタオル等の素材として最適という。特長の第一は、院内感染菌であるMRSAを死滅させるほどの効果があるという天然の抗菌力。日本食品分析センターの抗菌テストデータにより、増殖を抑制することが実証されているとのこと。抗帯電性も綿の約1/12と優れ、静電気の発生がほとんど無いため肌への負担が少なく子供や敏感肌の人、高齢者にもお勧め。また、ニオイや黒カビの発生を抑制する消臭・防カビ効果も持続性が高く、遠赤外線効果にも優れるとしている。

「TAKEFU」のわた。竹をパルプ化してセルロースを抽出し繊維化する行程をとるが、セルロースを溶解して繊維として再生するため「再生セルロース繊維」と呼ばれる

「TAKEFU」の製造工程。竹をチップ化した後、パルプを板状に加工。繊維化、紡績の行程を経て糸ができあがる

「TAKEFU」の原料となるのは"慈竹"という株立の竹で、高さは6~12m、直径は3~6cm。竹は"たけのこ"として毎年芽吹き、成長が早いため約3年で成木になる。竹の育成には、除草剤や枯葉剤などの農薬が不要で、化学肥料も使用しないとのこと。成木のみ伐採を行うことで資源を減らすことなく活用できるので、持続可能なエコ素材といえる。

「TAKEFU」からは、起毛、パイル、ガーゼ織、ニット、ガーゼ、天竺、綾織と、様々な生地が作られる。左の「竹布 フェイスタオル」はレーヨン(TAKEFU)100%。大きさが約35×88cmで価格は1,575円。右は「竹布 Lady's半袖Tシャツ」「竹布 Men's半袖Tシャツ」。材質はレーヨン(TAKEFU)70%、綿30%でM/Lサイズがあり、価格は共に3,990円

同社では1999年より竹繊維の開発を始め、製品化には数年間を要したという。同じ種類、同じ期間で生育した竹を使用しないと均一な繊維にならないなど、苦労した点も多いようだ。現在中国に660万m2の育成林を持ち、5年後に竹林は東京ドーム4,000個分に相当する1,650万m2に拡大するとのこと。

土や農薬を使わずキッチンやダイニングで野菜作り

水耕栽培の技術開発を行う里山村は、家庭内で使える小型の水耕栽培システム「アクアファーム WAOHシリーズ」を展示。水耕栽培とは、液肥に根を浸すことで植物の育成を行う栽培方法のこと。土や農薬を使用しないため、虫がつきにくく手間がかからない利点があるという。また、光合成を促す人工光合成装置(特殊蛍光灯)を取り付けることにより、日光が当たりにくい屋内での栽培も可能とのこと。栽培に適すのは、レタスやラディッシュ、パセリ、イチゴの他、バジルやミントなどのハーブ類。

同社では屋外に設置する大型のシステムも手がけるが、「WAOHシリーズ」は高さが400mで奥行きは106mmとスリム。幅の違いで800mmと1,400mmの2種類のモデルがある。キッチンやダイニング、リビングで、手軽に無農薬野菜作りをできることが特長。

「アクアファーム WAOHシリーズ」の800mmモデル。最大の栽培株数は44株。使用する液肥の容量は5リットル。1,400mmモデルでは、最大78株の栽培が可能だ

本体には液肥を循環させるための小型ポンプが組み込まれ、水流を発生させて水の腐食を防ぐとともに野菜に養分を供給する。フレームは軽量なアルミ製で、アルマイト処理により耐錆性を得ている。価格は蛍光灯付きのタイプで、800mmモデルが3万7,800円、1,400mmモデルが4万8,300円。蛍光灯無しのタイプもある。

オプションのポリカーボネイト製フードを取り付けた状態。テラスやバルコニーなど半屋外への設置であれば、人工光合成装置は不要

「アクアファーム」は屋内用の大型のモデルもラインアップ。屋外用では、外食産業用向けなどで更に大型のモデルもある

不要になったフライパンを回収してリサイクル

クリナップが運営するキッチンまわりのコミュニティクラブ Dreamia Clubのブースでは、北陸アルミニウムが環境に優しいフライパン「エコプラウド(ecoproud)」を紹介。フライパン回収システムを取り入れた商品で、家庭で不要となったアルミ製のフライパンを無料で回収してリサイクルするという。「エコプラウド」には着払いの同社宛て送り状が付属し、購入者は廃棄するフライパンを所定サイズの箱に入れて発送。アルミ製のフライパンのみに限られるが、リサイクルの新しい取り組みとして興味深い。

商品本体にはリサイクルしたアルミを80%以上使用し、取っ手の部分は埼玉県産の国産木材を利用しているとのこと。内面にはデュポンのフッ素樹脂加工"テフロンプラチナ"が施される。アルミキャスト(鋳造)製で熱の伝導性に優れ、熱の保有力が大きいため中火で十分に調理ができるとしている。省エネルギー、省資源を謳う同商品は、通常タイプとIHクッキングヒーター対応タイプの全11モデルを揃える。

フライパン回収システムの説明パネル。アルミは低い温度で溶解するため、新しく精錬する場合と比較して3~5%のエネルギーでリサイクルできるという

通常タイプの「エコプラウド」フライパン28cm。価格は5,775円。日本製

「X-TRAIL FCV」のカットモデルも登場

水素・燃料電池実証プロジェクト(JHFC)は、日産自動車の燃料電池自動車「X-TRAIL FCV」を展示したが、あまり見ることのないカットモデルを持ち込んでいた。身近な製品が多い他のブースとは異なるアプローチではあるが、電気自動車などエコカーが話題となっているためか、熱心に見たり説明員に話しを聞く来場者の姿も見受けられた。

「X-TRAIL FCV」のカットモデル

助手席の下に「燃料電池スタック」、後部座席の下に「高圧水素容器」、カーゴルームの床下に「リチウムイオンバッテリー」が配置される