Microsoftが、Microsoft .NETに採用されているプログラミング言語「C#」と共通言語基盤「CLI」について、特許を主張しない方針を公表した。同社オープンソースソフトウェア研究部門の公式ブログ「Port 25」で米国時間の6日、責任者を務めるPeter Galli氏の投稿により明らかにされたもの。

Galli氏が投稿した「The ECMA C# and CLI Standards」と題された記事によれば、ヨーロッパ電子計算機工業会 (ECMA) により国際標準規格として認定されている「C#」(ECMA-334) 、および共通言語基盤「CLI」(ECMA-335) について、Microsoftは同社が定める「Community Promise」を適用するという。

Community Promiseは、ソフトウェア開発者が知的所有権の所在を認めたうえで、公開された技術情報をもとに新たな実装を可能にする取り決め (Microsoftによる定義)。Community Promiseが適用された技術について、Microsoftは特許などの権利を主張することはなく、開発者はMicrosoftとの契約や通知を行わずにプログラミングなどの実装に活用することができる。

C#は、Microsoft .NETのプログラミング言語としてMicrosoftが提供するもののほかに、オープンソースによる.NET互換環境「Mono」に収録された再実装版がある。6月には、FSFおよびGNU Projectを主宰するRichard Stallman氏が、C#に関しMicrosoftが特許を主張する可能性があるとして、オープンソースコミュニティに警告を発していた。

Community Promise適用の報を受けたMono Projectは、この措置を歓迎。公式ブログ「Monologue」に投稿された記事によれば、MonoにはCommunity PromiseがカバーしないASP.NETやWinformsなどの技術も含まれているため、ECMA標準のみとそれ以外の実装を含む部分との2つに、ソースコードを区分する計画とのこと。