IDC Japanは6月29日、国内企業向けオフショアITサービス市場予測を発表した。同発表によると、国内企業がインド・中国など海外のオフショアベンダーに直接支出したITサービスの金額は、2008年には前年比13.1%増の305億円に達し、2013年には436億円に達するという。

中国・インドなどのオフショアITサービスベンダーは、売上規模は小さいが、国内ITサービス市場における価格低減要求やITエンジニアの不足などを背景に、2008年まで順調に業績を拡大してきた。サービスの中心はカスタムアプリケーション開発・運用、ERPパッケージの導入などで、主要な顧客は外資系金融機関やグローバルな製造業である。

昨年からの景気後退とそれに伴う企業のIT投資抑制は、オフショアベンダーの国内業績にも影響を及ぼし始めている。一部企業はコストダウンのためオフショアベンダー利用拡大を考えているが、全般的には受注が減る傾向にあるという。

そうしたなか、オフショアITサービスベンダーは要件定義など上級工程へのサービス拡大、BPOといった新たなサービス領域への進出などを計画しており、景気回復後には、再び市場全体の成長を上回るペースでの成長が予測されると、同社では分析している。

同社では、2009年には景気後退の影響を受けて成長が鈍化するが、2010年以降は再び高い成長を始め、2013年には436億円に達し、2008年から2013年の年間平均成長率は7.4%になると予測している。

オフショアリソースの利用に対する懸念(2008年調査との比較) 資料 IDC Japan