Adaptecは6月25日、同社のSAS/SATA RAIDコントローラカードであるUnified Serial RAIDコントローラ製品の新シリーズ「Series 5Z」として「5405Z」「5805Z」「5445Z」を発売した。

「Series 5Z」の1つ「5405Z」のカード外観(ヒートシンクの奥にNAND型フラッシュメモリを搭載したモジュールが付き、そこにキャパシタがつながった構成となっている)

これらの製品は、同社のVice President,International SalesであるJared Peters氏への取材で明らかにされていたもので、ようやく実際の製品の登場ということとなる。

基本的なチップなどの設計は既存の「Series 5」と同様のものを採用。異なるのは、これまでオプションで提供されてきたリチウムイオン電池ベースのバッテリ・バックアップ・ユニット(BBU)に比べて、メンテナンス性の軽減とバックアップコストの削減が実現できる点。

特にサーバなどでBBUを扱う場合には、ベストケースで72時間のデータ保護が可能であるが、保障期間が基本的に1年であり、データの保護性などを勘案すると毎年交換する必要などがあるほか、保守交換用の在庫の保持などの手間も必要であった。また、交換するためにはシャシーを開け、システムをオフライン状態にして作業を行うなど、一時的にシステムの一部を止める必要もあった。

5Zでは、4GBのフラッシュメモリと、数十ファラッドのキャパシタ(スーパーキャパシタ)を組み合わせることで、停電が生じた時などに、キャパシタの電力を用いフラッシュメモリにプロセッサ上のキャッシュデータを移行させることで、復帰後、速やかにもとの状態を復元させることが可能だ。データの移行時間は「長くても2分程度であり、それに必要なキャパシタ容量があれば十分対応できる」(Adaptec)とする。

また、キャパシタの製品寿命は10年と、RAIDカードよりも長いため、システムを切り替えた際に、RAIDカードだけ使いまわすということにも対応が容易となる。

ちなみにキャパシタ部分はカードから離された設計になっているが、これはモジュールを高くしてエアフローの流れを妨げないための仕様で、結束バンドのようなもので、空いている部分に縛り付けることが可能となっている。

なお、価格はオープンとしているが、想定価格としては、5405Zで8万円弱程度としており、データセンタなどの大規模な分野のほか、中堅・中小企業向けにも提供していくとし、店頭には7月初旬程度から並ぶ予定としている。