厚生労働省は29日、医薬品のネット販売規制について、離島居住者や以前からの継続使用者に対しては、伝統薬などの薬局製造販売医薬品と第2類医薬品のネット販売を今後2年間はできるようにするとした省令を公布・施行した。

「薬事法施行規則などの一部を改正する省令の一部を改正する省令」の一部(出典:官報ホームページ)

今回公布・施行された省令は、改正薬事法で定める「第1類」「第2類」「第3類」の医薬品に関し、「第1類」「第2類」の医薬品のネット販売を規制する「薬事法施行規則などの一部を改正する省令」の施行後2年間の経過措置を定めるもの。正式名称は「薬事法施行規則などの一部を改正する省令の一部を改正する省令」となっている。

内容は、離島居住者や以前からの継続使用者に対して、伝統薬などの薬局製造販売医薬品と第2類医薬品の通信販売(ネット販売含む)を、2011年5月31日まで可能にする内容となっている。

この省令を巡っては、医薬品の販売方法を議論するために設置された「医薬品新販売制度の円滑施行に関する検討会」の第6回会合において案が提示された。だが、楽天会長兼社長の三木谷浩史氏を初め、同検討会の構成員の多くから反対意見が出されたため、検討会のコンセンサスは得ないまま「厚生労働省が責任において」(北里大学名誉教授で座長の井村伸正氏)作成したこととされ、パブリックコメントを経て、今回の公布・施行にいたった。

今回の省令によって一部が改正された、医薬品ネット販売規制自体を定める省令に関しては、6月1日に施行予定となっている。だが、「ケンコーコム」を運営するケンコーコムと医薬品・健康食品ECサイト「健康食品店ウェルネット」を運営するウェルネットは、5月25日、国を相手取り、医薬品ネット販売の権利確認と省令の無効確認・取消を求め、東京地裁に提訴した。また、楽天の三木谷氏も訴訟する可能性を示唆しており、今後は法廷の場に議論が移行されることになる。