シャープは27日、報道関係者向けの説明会を開催した。説明会では同社執行役員 通信システム事業本部の大畠氏が、通信事業の取り組みや、ドコモ、KDDI、ソフトバンクモバイルに提供する夏モデルについて説明した。

シャープ 執行役員 通信システム事業本部 大畠昌巳氏

大畠氏はまず、同社の通信事業における新体制について解説。新体制では、「国内向け携帯電話事業」と「海外向け携帯電話/通信融合端末事業」の2つの組織に分け、市場動向に素早く対応するという。国内向け携帯電話事業は、ドコモ/KDDI/ソフトバンクモバイル端末を担当。海外向けおよび通信融合端末事業では、グローバル端末、ウィルコム/イーモバイル向け端末を含めたスマートフォンの製品の開発・展開を担当する。

海外展開としては、2008年より中国市場で本格的な商品展開を開始し、これまでに6機種を投入している。「AQUOS手机」の名で、AQUOSブランドの端末を展開しており、AQUOS手机第3弾となる新製品「SH9110C」も発売する予定だという。

一方、国内市場では、2008年度の携帯電話出荷台数の23%を占め、4年連続でトップシェアを確保している。この点について大畠氏は「大画面で高精細な液晶、800万画素CCDカメラ、操作性の高いタッチパネル、特徴的なデザインなどが評価されているのではないか」と分析。今後は、ソーラー充電機能搭載の「SOLAR HYBRID」など、特徴ある端末を投入することで「2009年度は国内シェア30%へ挑戦する」という。

国内向け製品の出荷台数シェア。4年連続でシェアトップの座を獲得

過去の経済状況が悪化した際、シャープは革新的な製品を世に送り出してきたという

また、世界的な不況や鈍化傾向の市場を踏まえ、「厳しい状況ではあるがシャープはこれまでにも、オイルショックの際は液晶電卓を、バブル崩壊時はビューカムなどを創出してきた。厳しい時こと驚きのある商品で乗り切り、また市場を活性化させたい」と語った。

続いて携帯電話の市場動向について解説。「以前に比べハイエンド端末からミドルレンジやローエンドへシフトしている」と大畠氏は指摘する。要因としては、各キャリア(通信事業者)が新販売方式を導入したことで、ハイエンド端末の高額化した点や、以前のハイエンド端末並みの機能を搭載したミドル・ロー端末が揃ってきている点を挙げた。こうしたユーザーニーズを踏まえ、「リーズナブルな価格にも競争力のあるワンポイントを搭載した製品」を導入していく方針だ。

今回発表した夏モデルは合計12機種。キャリア別ではソフトバンク6機種、ドコモ3機種、KDDI2機種、ディズニーモバイル1機種となる。夏モデルについて大畠氏は、「カメラ機能に対してのユーザーニーズは依然として高い。画質に加えて、シャッターチャンスを逃さないカメラが望まれている」と分析。そうしたニーズに応えるべく、1000万画素CCDカメラを搭載した「AQUOS SHOT」と名付けた端末を投入する。フォーカスロックからシャッターが切れるまでの時間を短縮したり、被写体にピントを合わし続けるコンティニュアンスAF機能を搭載するなどカメラ機能にフォーカスしたモデルだ。

携帯電話購入の際に重視する機能の上位3つは「液晶」「カメラ」「ワンセグ」が締めている

AQUOS SHOTについて。1000万画素CCDに加え、さまざまなシチュエーションで撮影しやすいモードが搭載されている

また、外出時のバッテリー切れを解決したいといったユーザーニーズに答え、ソーラー充電機能を搭載した「SOLAR HYBRID ケータイ」も提供する。現状ではパネルの薄型化などの理由からエネルギーの変換効率は13%(理論上は20数%まで可能)だという。今後は、アプリケーションへの展開なども検討していくという。最後に防水機能についての説明があった。「防水機能はいまや標準。今後も多くの端末に防水機能を搭載していく」(大畠氏)という。

外出時にケータイのバッテリーが切れる場面に多くの人が経験しているという

SOLAR HYBRIDに搭載されているソーラーパネルについての解説。パネルの厚さは約0.8mm

タッチ&トライ会場では、各キャリア向けのシャープ製端末が揃えられていた。画像左はSOLAR PHONE SH002(KDDI)とSOLAR HYBRID 936SH(ソフトバンク)、画像中央はAQUOS SHOT 933SH(ソフトバンク)、画像右はSH-05A(ドコモ)

タッチ&トライの会場には、AQUOS SHOTやSOLAR HYBRIDのコーナーも設置されていたが、そのほかにもカメラモジュール(画像左)やソ-ラーモジュール(画像中央)、海外向け端末(画像右)の展示もあった

カーナビとの連携として「フォトリモ@ナビ」の紹介もあった。あらかじめケータイで検索した目的地をBluetoothでカーナビに転送することができる。ケータイの着信をカーナビ上で表示するなどの機能でカーナビと連携する

ブルーレイとの連携も紹介していた。「AQUOSケータイ SH-07A」には専用のスピーカー付き卓上ホルダとケーブルが同梱されており、卓上ホルダに本体を置くとブルーレイディスクレコーダーで録画した映像が自動転送される

(2106bpm/K-MAX)