屋上緑化の資材開発と施工を手がける東邦レオは26日、ビオトープ型の屋上緑化を構築可能な循環式・軽量水辺緑化「クールパレットシステム」を発売する。同システムにより屋上に水辺(湿地)空間を確保することができ、断熱効果による省エネ効果に加えてヒートアイランド緩和と生物多様性の保全に貢献するという。価格は、標準植物や自動水循環設備などの材料費と工事費を含め1m2当り3万3,000円から(税別)。

「クールパレットシステム」の外観

生物が生息する空間である"ビオトープ"は都市緑化の手段としても有効とされるが、同社によれば未利用空間が多い建築物の屋上のビオトープ型屋上緑化は普及していないという。これは、屋上の積載重量が法令により1m2あたり60kgまでと規定されており、10cmの水深でも荷重が100kgを超えてしまうことが要因とのこと。

今回同社では凹凸型貯水パネルを用いた自動水循環型のシステムを新開発し、1m2あたり60kg以下の軽量化を実現したという。100cm×80cmのパネルには"湿地部"、"あぜ部"、"流水部"の3つのエリアが設けられ、連結することにより一体型の大きな水辺を創出可能。また、水の循環による"せせらぎ"が水質を安定させ、蚊の発生も抑えるとしている。

連結して設置する貯水パネル

水の蒸発や植物の光合成による蒸散には周囲の熱を奪う効果があり、同システムは周辺環境を冷却する効果が期待できるという。同社による実験では、屋上緑化で使用されることが多い芝生の1.44倍、セダムの1.55倍の蒸発散量を得られたとのこと。

「クールパレットシステム」の設置例

なお、同社では東京都市大学 環境情報学部 ランドスケープ・エコシステムズ研究室の田中章氏と共同で同システムを用いた研究を実施。"水"、"土"、"植物"の三要素がすべて揃ったビオトープが、室内の温度上昇の抑制、ヒートアイランドの緩和、および生物の生息空間の確保に最も有効であることが確認されたとしている。