富士通は、現在連結子会社である富士通ビジネスシステム(FJB)を株式交換により完全子会社化し、富士通とFJBに分散している中堅市場向けの人員や製品をFJBに一本化していくことを発表した。

FJBは6月の株主総会を経て7月28日に上場廃止し、8月1日に株式交換の効力を発生させる。新生FJBのスタートは、今年の10月1日になる予定だ。

富士通 取締役副社長 広西光一氏

富士通は今年の3月31日現在でFJBの52.55%の株式を保有しているが、あえて完全子会社する理由について富士通 取締役副社長 広西光一氏は、「これまで両社間で顧客を奪いあうこともあった。(FJBに)売上を上げろという一方で、この顧客には営業するなということはできなかった」と、今回の完全子会社化が両社間の役割分担の明確化にあることを明らかにした。

今後は、富士通とFJBに分散していた中堅市場に対する営業機能を、FJBに統合するほか、中堅市場向けサービスおよびプロダクトの企画・商品化についても、富士通からFJBに移管する一方、FJBの大企業向けの営業を富士通に移動させ、富士通は大企業中心のビジネスに注力する。

営業体制の1本化

商品化機能の集約・強化

また、中堅市場におけるパートナーについても、今後、FJBを中心とした体制の中で強化を図っていくという。

そして、第一段階として、株式交換完了後速やかに、市場規模の大きい東名阪地区における中堅民需市場向けの営業機能をFJBに統合するほか、富士通の中堅市場向けERPソリューション「GLOVIA smart」のブランドをFJBの管轄下に置く。

なお、富士通からFJBに移動する人員規模については「今後検討する」とし、具体的な人数は明確にしなかった。

FJBは、これまでオフコン販売や保守といったハードウェアによって売り上げを伸ばしてきた。しかし、市場の変化によりハード関連の売り上げが年々減少。ソリューションビジネスへの転換を図ってきた。そして、中堅市場に特化した営業・ソリューション戦略に基づきこの分野の売り上げを伸ばし、中堅4万社のユーザーをかかえる富士通グループ屈指の中堅市場プレーヤに成長してきた。

富士通は今回の子会社により、中堅企業向けのビジネスをFJBに一本化、2008年度で3500億円程度の中堅市場向けのビジネス規模を、2013年に5000億円程度に拡大したい考えだ。

富士通ビジネスシステム 代表取締役社長 鈴木國明氏

FJB 代表取締役社長の鈴木國明氏は、売り上げ拡大のポイントを「中堅企業向けの商品開発」とし、「これまで中堅企業に売りたくても、商品がなかった」と、現在の富士通グループが中堅企業市場をカバーしきれていない問題点を指摘。広西氏も「大企業の富士通が作っても、中堅市場には売れない。(FJBに企画・商品化を移管することにより)売れるパッケージを作っていきたい」と語る。

今後FJBは、売上高300億以下の企業、人口30万人以下の自治体、300床以下の病院といった規模のユーザーをターゲットに事業を展開していく。鈴木氏は「散在する力を新生FJBに集約し、グループの可能性を追求してきたい」と語り、現在1500億円程度であるFJBの売上を、数年後に3000億円程度まで伸ばしたい考えを示した。

富士通グループの中堅市場の売上目標。2013年に5000億円に。