米航空宇宙局(NASA)は5月14日(米国時間)、地球軌道を周回中のスペースシャトル「アトランティス」(STS-125)に搭乗中の宇宙飛行士により、ハッブル宇宙望遠鏡の広域カメラを交換する作業が無事に終了したことを発表した。新しい広域カメラ「Wide Field Camera 3(WFC3)」により、ハッブルは今までよりも広範囲に渡る詳細な画像を撮影することができるという。

7時間20分におよぶ交換作業を行ったのはミッションスペシャリスト(MS)のJohn Grunsfeld氏とAndrew Feustel氏(いずれも米国人)。今回の作業はSTS-125における最初の船外活動で、カメラの交換のほか、地上からハッブルに命令を伝えるコンピュータユニット「Science Instrument Command and Data Handling Unit(SIC&DH)」の取り替え作業などが行われた。

新しく取り付けられたWFC3は、これまでハッブルで動作していた広域惑星カメラ「WFPC2」に比べより広角での撮影が可能になり、また、幅広いカラーレンジを扱えるようになるため、今まで以上にクリアで詳細な画像が期待できる。

STS-125では、11日間で計5回の船外活動でハッブルの修理を行う予定。今回の修理によりハッブルは「あと5年以上の稼働が可能になる」(NASA)という。

修理のため、スペースシャトル「アトランティス」の貨物室に固定されたハッブル宇宙望遠鏡。取り付け作業後、米メリーランド州にあるゴダード宇宙飛行センターの地上オペレータたちは、WFC3が期待通りに稼働していることを確認した