Kaspersky Labs Japan(以下、カスペルスキー)、デジタルアーツ、丸紅情報システムズの3社は5月13日、企業向けセキュリティ事業で協業したことを発表した。具体的には、カスペルスキーとデジタルアーツの両社で、ウィルス対策とファイルタリングの機能を備えた新ソフトウェアを開発。丸紅情報システムズが国内総販売代理店として販売/保守サポートを行う。

新たに開発されるソフトウェアには、「i-FILTER Powerd by Kaspersky」という仮称が付けられている。カスペルスキーのウィルス対策ソフト「Kaspersky Anti-Virus for Proxy Server」とデジタルアーツのWebフィルタリングソフト「i-FILTER」を統合したものになる予定で、2009年9月のICAP版リリース、2010年第2四半期の統合版リリースを目指している。

i-FILTER Powerd by Kaspersky

Kaspersky Lab CEOのEugene Kaspersky氏

Kaspersky Anti-Virus for Proxy Serverは、その名のとおり、プロキシサーバ向けのアンチウィルスソフト。インターネットトラフィックのリアルタイムスキャンはもちろん、圧縮ファイルのスキャンや、危険が潜在するプログラムの検知といった機能を備える。同社のウィルスソフトは、「世界で2億人以上のユーザーに利用されており、80社以上の企業にOEM提供されている」(Kaspersky Lab CEOのEugene Kaspersky氏)といった実績を誇る。

Kaspersky Anti-Virusの特徴

デジタルアーツ 取締役 COOの高橋則行氏

一方、i-FILTERは、国内導入法人数シェアNo.1のWebフィルタリングソフト。富士ゼロックスがOEMで販売している「beat」と合わせるとそのシェアは54.8%に上る。学校/教育機関19200校、企業/公共団体5500社、xSP/CATV150社で導入されているほか、家庭向けゲーム機や家庭向けルータ、PCバンドルなどでも多く採用されている。純国産製品で日本人が目視で有害サイトを確認するなどの特徴があり、「品質やパフォーマンスでもNO.1に選ばれた実績がある」(デジタルアーツ 取締役 COOの高橋則行氏)という。

i-FILTERの導入実績

丸紅情報システムズ プラットフォーム&ネットワーク事業本部 NSソリューション部 部長補佐の山崎僚氏

今回の協業は丸紅情報システムズの呼びかけに端を発する。同社では、「i-FILTERを2002年から、Kasperskyを2007年から扱っており、両製品を導入する案件が多かった」(丸紅情報システムズ プラットフォーム&ネットワーク事業本部 NSソリューション部 部長補佐の山崎僚氏)と言い、実績の多い両製品を統合することで「インストールの簡略化」「管理の一元化」「サポート窓口の一元化」「販売価格の低減」といったメリットを導入企業に提供できると判断し、提案を行った。i-FILTER Powerd by Kasperskyの一次販売代理店を務めることになる同社では、従業員数100名以上の企業をターゲットに据え、i-FILTER/Kaspersky Anti-Virus for Proxy Serverの既存ユーザーに訴求を行っていくほか、Webフィルタリングおよびアンチウィルスのソフトウェア/アプライアンス分野で他社製品からの乗り換えもねらっていくとしている。

i-FILTER Powerd by Kaspersky導入システムの構成イメージ

標準販売価格は500ユーザーで200万円程度になる予定。初年度販売目標3億円を掲げている。

カスペルスキー、デジタルアーツ、丸紅情報システムズの代表者ら