東芝とパナソニックは8日、両社が発売したデジタル放送のみを受信できるDVDレコーダの新機種に関し、「私的録音録画補償金」を課金していないことを明らかにした。権利者側の反発が予想され、今後は私的録画補償金管理協会(SARVH)と両社との協議の行方が注目される。

私的録音録画補償金制度は、私的使用を目的とした個人または家庭内での著作物の複製について、一定の割合で録音録画機器のメーカーから補償金を徴収し、著作権権利者への利益還元を図ることを目的とした制度。だが、iPodなどの携帯音楽プレイヤーやHDDレコーダ、PCといった現行の補償金制度外の機器についても対象に含めるよう求める権利者側と、著作権保護技術の進歩を理由に同制度の縮小を求めるメーカー側の主張は大きく乖離(かいり)している。

とはいえ、HDDレコーダのほとんどが、課金対象のDVDレコーダの機能も備えた「ハイブリッドレコーダ」のため、補償金の課金対象となっている。また、HDDレコーダと同じく現在は補償金の課金対象となっていないBlu-ray Discレコーダの場合も、課金対象のDVDレコーダの機能を備えていることがほとんどで、その多くが課金対象となっている。

だが、デジタル放送のみを受信できるDVDレコーダに関しては、電機業界の業界団体である電子情報技術産業協会(JEITA)では、「著作権保護のためのコピーコントロールがなされているデジタル放送のみを受信するDVDレコーダに関しては補償金の対象外とすべき」という趣旨の主張をしている。

東芝では、デジタルハイビジョンレコーダ「VARDIA(バルディア)」シリーズの新モデル「RD-G503」「RD-E303」について、「アナログチューナーを搭載せずデジタルチューナーのみを搭載している録画機器に補償金を課金すべきかがまだ明確でない」(同社広報室)とし補償金を課金していない。パナソニックもハイビジョンDVDレコーダ「ハイビジョンディーガ」の「DMR-XE1」について、同様の理由で課金していない。

これについて文化庁著作物流通推進室長の川瀬真氏は、「両社の対応はJEITAの従来の主張通りで驚いていない」としながらも、「(補償金を権利者に分配する)私的録画補償金管理協会と両社はすでに1回協議し、5月にもう一度協議をすると聞いている。東芝もパナソニックも訴訟にするということではなく話し合い路線ということなので、その推移を見ていきたい」と話している。