日本総合研究所は5月11日、今年2月に上場企業を対象に実施し「金融商品取引法による内部統制有効性評価の取組実態に関する調査」の結果を発表した。質問項目は内部統制報告制度に取り組むにあたっての体制、費用、スケジュール、独立的評価の実態など。

スケジュールについては、初めての取り組みということで全体的に遅れ、第4四半期に内部統制監査が集中したという。しかし、遅れはかなり取り戻されており、3月決算の企業では、決算プロセスは80%、決算プロセス以外の分野では90%以上において、2009年3月に会計監査人による内部統制監査が終了することが見込まれている。

内部統制報告制度への対応にかかった費用は、内部統制監査が始まる前年度は全体平均で9,280万円、本番年度では6,400万円、合計約1億6,000万円と推定された。ただし、売上に対する負担割合は規模の小さい企業のほうが大きくなる傾向が見られた。本番年度の場合、連結売上高100億円未満の企業では売上の約0.34%(連結売上高100億円として計算)、5000億円以上の企業では約0.035%(連結売上高5000億円として計算)であり、約10倍の開きがある。今後も、文書の変更管理業務や監査対応に必要な担当者の人件費として、今後も年間3,300万円が発生することが予想される。

J-SOX対応コスト平均(3月決算企業 連結売上高別) 資料:日本総合研究所

また、「評価活動に満足できた企業」および「会計監査人との意見の相違がなかった企業」の割合は、年間1,000億円以下の売上高を持つ企業では、それ以上の売上高の企業に比べて低い傾向が見られた。特に、売上規模が100億円未満の企業では、重要な欠陥が「出る可能性がある」と予想している企業が約15%に上り、それ以上の規模の企業の予想が2%にとどまっているのに対して非常に高い。

今回の調査結果を踏まえ、同社は制度面について、体制が不十分になりがちな規模の小さい企業にとっても対応しやすい形にすべく、上場基準が異なる株式市場別に評価基準を設定することが検討されるべきと提言している。